山菜を採取して食べよう②ワラビを味わう

山菜を採取して食べよう②ワラビを味わう

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山菜を採取して食べよう①

 

アク抜きしたワラビ。重曹や塩、木灰などを使ってアクを抜く方法は、全国各地で伝えられてきた(撮影:趣味千編集部)

ワラビのアクを抜く

摘みたてのワラビ。そのまま食べるとワラビ中毒をおこすので、必ずアク抜き処理をする(撮影:趣味千編集部)

 

シダの仲間の芽の部分であるワラビは、代表的な山菜で、比較的採取しやすいものです。ぶらぶら散歩しながら集めてきたワラビを、料理してみます。
ワラビには中毒となる毒素が色々と含まれているので、そのまま食べるのは厳禁です。しっかりアク抜きをしなくてはなりません。ワラビのアク抜きは簡単で、重曹を使ったり、塩漬けにしたり、地方ごとに様々な方法がありますが、今回は石窯(⇒簡単!楽しい!おいしい!石窯を作ろう‼)で燃やした薪の灰を使ったあく抜き方法を採用します。

石窯の灰は良質

石窯の中から取り出した木灰。炭など混じっても構わないが、できれば完全燃焼後の白い灰がよい(撮影:趣味千編集部)

 

石窯の灰は杉、松、桧、櫨、梅など、あらゆる木を燃やしてきたものですが、どんな木を燃やしてた灰でも構いません。ビニールのような化学物質や、灯油のような石油系のものを燃やした灰で無ければ、問題はありません。
この灰には、小さな炭も混じりますが、それも構いません。これらの灰は本来は肥料や火鉢の灰として役に立ちますが、古来からアク抜きには欠かせないものでした。春先に山菜を料理する人は、冬に薪ストーブや暖炉、石窯を使った残りの灰を、全部畑に撒いてしまうのでは無く、アク抜きの分だけとっておきましょう。
ワラビ全体にたっぷり灰をまぶす。灰が水をアルカリ性にし、ワラビの繊維を破壊する(撮影:趣味千編集部)

アク抜きの意味

ワラビの切り口にもよく灰を摺りこむ(撮影:趣味千編集部)

 

アクというのはワラビの持つ毒素のことで、アク抜きというのはその毒素を水に溶かしだしてしまうことです。炭酸水素ナトリウムである重曹で水をアルカリ性にし、ワラビの繊維を破壊することで、ワラビの中の毒素が水に溶け出してしまうことを「アク抜き」といいます。木の灰にも炭酸カリウムが含まれており、重曹と同じように水をアルカリ性にするため、ワラビのアクが抜けるわけです。
やったことがないのでわかりませんが、酢を使ったアク抜き方法もあり、これも酸の力でワラビの繊維を壊すのでしょう。

ワラビを灰まみれにする

沸騰した熱湯を灰をまぶしたワラビに注ぐ(撮影:趣味千編集部)

 

集めた灰をワラビにまぶします。ワラビの切り口にもたっぷりまぶしたところで、熱湯を注ぎます。熱湯もワラビの細胞を破壊するのに役立ちますが、熱湯をあまり多く注ぐと、アルカリ性が弱くなってしまうので、ひたひたくらいがちょうど良いでしょう。
煮てしまえばワラビの細胞がもっと分解されて、アクもどんどん抜けるでしょうが、煮てしまうとワラビがドロドロに分解してしまい、ワラビの歯ごたえを失ってしまいます。
熱湯を注いだ状態で最低でも一晩、放置してアクを抜きます。アクを抜き終わったらきれいな水にさらして灰を流し、アク抜きは完成です。
お湯はワラビがひたひたになる位の量で。あまり入れすぎると、アルカリ性が弱くなる(撮影:趣味千編集部)

ワラビ料理

煮物はワラビ料理の定番。水煮と違い、摘みたてのワラビは風味も高い(撮影:趣味千編集部)

 

アク抜きをしたワラビは、きれいな水の中で整然と並び、美しいものです。様々な調理法がありますが、今回は煮物と味噌汁にしてみました。
煮物は油揚げとワラビを、酒とみりん、しょうゆで味付けしたもの。鰹節を出汁の代わりに入れました。味噌汁も油揚げと合わせ、いりこ出汁、麦味噌です。水煮として袋詰めで売られているものよりも新鮮なため、ワラビ特有の歯ごたえとぬめり、香りが楽しめます。お近くにワラビが自生しているような野原でもあれば、ぜひ山菜採りと料理に挑戦してみてください。
ワラビは油揚げとの相性が良い。おいしいが、発がん性物質も含まれるため、食べすぎには注意(撮影:趣味千編集部)
 
 
 
 
 
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