干すとおいしさアップ!
柿は40種類以上ある
柿には非常にたくさんの品種があります。「富有」や「太秋」などの品種が有名ですが、その他にも地方地方で育てられ、改良されてきた柿があり、40種類以上に及びます。
地方の谷などで昔から育てられている柿には、どれにも分類されないような柿もありますので、本当はもっと多くの知られていない種類があるのかもしれません。
甘柿と渋柿
大別して柿には、そのまま食べられる甘い「甘柿」と、渋くてそのままでは食べられない「渋柿」の2種類があります。甘柿には「富有柿」「太秋柿」「御所柿」などの品種があり、渋柿には「江戸柿」や「富士柿」や「大和柿」などの品種があります。甘くて食べられる柿と、渋くて食べられない柿の2種類が同時になる柿の木もあります。
渋柿で干し柿を作ろう
渋柿は何らかの加工をしないと食べられません。多少の渋みは大丈夫だろうと口にすると、しびれてしゃべれなくなるほどです。
渋柿を食べるには、お湯に浸けて渋を抜く方法がよく知られていますが、保存はできません。その点、干し柿は1週間前後の常温保存が効きますし、冷凍することも出来ます。大量に渋柿が手に入るなら、干し柿を作ってみましょう。誰でも簡単に作れます。
干し柿の皮をむく
今回は「江戸柿」で作ってみます。最初に渋柿を洗ってほこりや汚れを落とします。それから包丁やピーラーで皮をむいていきます。皮は特に薄くむく必要も、厚くむく必要もありません。
へたの部分は残すようにします。これはあとから干し柿を吊すときの支えになるからです。へたに付いている小さな枝(「T」や「Y」の形をしている)も落とさないようにしましょう。
渋柿の皮は料理に使えないことはありませんが、なかなか手間がかかりますのでプランターに埋めて肥料してしまったり、刻んでニワトリの餌にしてしまっても良いでしょう。
熱湯で殺菌
干し柿はあとで外で干すのですが、一応殺菌のために熱湯にくぐらせます。大きな鍋に湯を沸かし、むいた渋柿を浮かべ、おたまで掬います。
渋柿を煮るわけではありません。むく際に表面を手で握ったりした際についた菌を熱湯消毒するだけなので、湯に浸けるのは数十秒程度で構いません。
柿を吊す
殺菌した渋柿をひもに吊していきます。昔々は藁縄などに吊していましたが、現代は撚ったビニールひもを使うのが便利です。撚りをほどきやすく、カビが生えにくいからです。
ビニールひもをねじって撚りを少しほどき、その隙間に渋柿のへたの「Y」や「T」を挟んでいきます。柿と柿が接触しない間隔で挟んでいきましょう。
ただ挟むだけでも、たくさんの柿を吊すと重みでビニールひもがぴーんと張って撚りが締まり、柿が落ちることはありません。
柿を干す
柿は午前中いっぱい日が当たるような、風通しの良い軒下などに干しましょう。風通しが悪いとカビが生えるので、注意しましょう。
干していると雨が降ったり、火山灰が降ったり、様々な問題が起きます。こうしたときは一時的に室内に取り込みます。野鳥が狙いに来る場合は、網などで近づけないようにしましょう。
干す期間はだいたい1カ月間です。天気によっては1週間ほど前後することがあります。
柿を揉む
最初に1週間ほど干して、表面が乾燥したら、時々柿を揉んで、形を整えましょう。干し柿の厚みを均一にするように揉んで形を整えると、乾燥しにくい中心部が早く甘くなります。1カ月間干すなら、5回ほど揉めば十分でしょう。
干し柿の保存
うまく出来た干し柿は、羊羹のように甘くなります。本当に素晴らしい甘みで、良い緑茶などといただくと、和菓子に負けないほどおいしいものです。食べきれない分はビニール袋に入れて保存すると良いでしょう。
干し柿を使ってパウンドケーキを作ったり、パンを焼いたりすることも出来ます。かなりおいしいので、お菓子作りやパン作りが上手な方はチャレンジしてみて下さい。
柿は貴重な甘み
サトウキビなどが自生しない温帯では、甘いものは蜂蜜くらいしかなく、柿の甘みはとても貴重だったことでしょう。干し柿には砂糖にはない特別な優しい甘みがあります。
過疎化が進み、無人となってしまった谷を訪れると、人が取らなかった柿が熟れっぱなしに放置されているのを目撃します。そうした柿はタヌキや野鳥のごちそうになっているようで、日が暮れると色々な動物が集まってきます。
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