山菜を採取して食べよう①

 

蛇腹切りで切り干し大根を作る

 

芽吹くゼンマイ。太古から食されてきた、力強い姿(撮影:趣味千編集部)

春の野は山菜だらけ

桜が散ると、野のあちこちに山菜がニョキニョキと生えてきます。ワラビにゼンマイ、タラの芽に、蕗(ふき)や山椒(さん・しょう)など、歩けばそこら中に何かが生えていて、1時間もぶらぶらしていればちょっとした収穫となります。
かつてはこうした山菜は重宝され、収穫競争が激しかった昔は、山菜が密集している場所を「ワラビの巣」と称し、なかなか他人には教えないようなこともあったそうですが、地方が廃れていく中、山菜摘みもさほど熾烈な競争でなくなったようです。
今回は阿蘇地方の春の野で山菜を散歩がてら探索してみました。

代表的な山菜

ツクシ

ほろ苦いツクシ。苦さは花粉の部分。食べすぎは禁物(撮影:趣味千編集部)

 
誰でも知っていてどこにでもあるツクシ。茎の部分を守る皮の「はかま」をはがしてから熱湯をかけて下処理し、卵とじにしたり、佃煮にしたり。ほろ苦いのが特徴です。微量の毒があるので、あまり多量に食べない方が良いといわれています。スギナもまた干して茶などに利用されます。
ツクシの親のスギナは、干してお茶などに利用される(撮影:趣味千編集部)

ワラビ

草原に伸びるワラビ。牛にとっては猛毒で、放牧の敵だ(撮影:趣味千編集部)

シダの一種で、野焼きの後の草原や牧野のような、日当たりが良い場所に生えてきます。比較的簡単に見つかります。毒があるのでそのまま食べると中毒を起こすので注意が必要。この中毒については、人間だけでなく、牛馬にも起こり、重篤な場合は死に至るほどです。次回詳しく記しますが、しっかりアクを抜いてから食べましょう。

タラノキ

タラノメは、タラノキが枯れないように、芽を残すルールがあるので注意(撮影:趣味千編集部)
 
芽は「タラの芽」といい珍味。天ぷらがおいしいといいますが、素揚げ、から揚げ派も多くいます。タラノキはあちこちから芽が出ますが、片っ端からむしってしまうとタラノキが枯れてしまうので、芽は全部取らないのがマナー。「先端の芽だけを取る」など、地方によってルールがあるので、採取前には地元の人に聞いて勉強しましょう。タラノキは食用に栽培されたものもあります。
(上)軽く粉をしてさっと揚げる空揚げ。天麩羅より軽く、本来の味がより楽しめる。 (下)空揚げは、天然塩でいただこう(撮影:趣味千編集部)

ゼンマイ

ワラビより見つけにくいゼンマイ。おひたしやナムルなど、色々な食べ方ができる(撮影:趣味千編集部)

 
ワラビと同じくシダの仲間ですが、ワラビが日当たりの良い場所を好むのに対し、ゼンマイは小川のそばなど、水辺に近い場所に生えています。あく抜きをしておひたしや和え物にしても良いですし、干して保存食にすることもあります。ナムルでは欠かせない食材です。

サンショウ

香り高いサンショウ。日本のハーブの中では、最も華やかで爽やかな物の一つ(撮影:趣味千編集部)
 
サンショウの新葉の香りは非常に高く、酢味噌と摺ってタケノコに和えたり、ちらしずしに添えたり、吸い物に入れたり、いくらでも使い道があります。ゴマと一緒にすり鉢で摺ってしょうゆを垂らし、白米に混ぜ込んでおにぎりにするような簡単な物でも、かなりおいしいものです。歩いていると意外とあちこちに生えているもので、結構簡単に収穫できます。

フキ

歯ごたえのあるフキは、油との相性が抜群。炊き込みご飯もおいしい(撮影:趣味千編集部)
 
フキは林の縁のようなやや薄暗い場所に群棲しています。茎の部分は塩ゆでし、アクを抜きます。油揚げや豚肉などと炒め煮にするとおいしいですが、炊き込みごはんなどもいけます。干したキヌ貝などと一緒に炊き込むと大変相性が良く、サンショウでも散らせば料亭、割烹級の味が楽しめます。

山菜採りの注意

山菜の代表タケノコを鰹出汁で炊き込みご飯にしてみた(撮影:趣味千編集部)
 
前記以外にも、セリやミツバ採取しやすい山菜はたくさんあります。山菜によく似た毒草もあり、トリカブトやドクゼリなど、間違って食べると命に関わるものも少なくありません。山菜に詳しい人の判断を仰いだ方が無難でしょう。
また山菜を盛んに利用する地方では、山菜を山に入って勝手に採ると問題になります。採取する前に地元の人に許可をもらいましょう。公営のキャンプ場やスキー場、河川敷などに生える山菜は狙い目です。
あまり山奥まで入らないのも、重要です。山菜採りの人が道に迷ってしまうニュースがよく報じられるように、夢中になって奥へ奥へ進んでいくと、帰れなくなってしまうことがあります。マムシ、クマ、スズメバチなどの危険もあるので、そうしたリスクも十分考慮に入れた上で行動しましょう。
山菜のワラビについてさらに詳しく
山菜を採取して食べよう②ワラビを味わう
 
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