稲藁を余すことなく利用する
水田ビオトープで収穫した稲穂を脱穀し、残った藁。完全無農薬有機栽培なので、何か利用しないともったいないような気がし、納豆を作ることにしました。自家製納豆は殺菌さえきちんとすれば、それほど難しくはありません。藁で藁苞(わら・つと)という入れ物を作って煮た大豆を入れ、藁についている納豆菌で大豆を発酵させる方法です。この納豆の作り方は、想像よりも簡単です。
最初に藁選りして準備
稲わらはそのままでは納豆作りには使えないので、葉や穂を取り除きます。特に今年は火山活動が活発だったので、葉と茎の間に火山灰が入っています。葉を取り除くときに火山灰も取り除きます。
葉を取り除き藁をきれいにすることを、「藁選り(わら・すぐ)」と呼びます。
煮豆を入れる藁苞を作る
煮た大豆を入れるための藁苞を作ります。きれいに葉を取り除いた藁を束ね、両端をたこ糸などで縛ります。藁苞の太さは5~7センチほど。長さは25~30センチほどです。今回はこのサイズを3つ作りました。
藁苞は色々な作り方があります。藁の両端を編んだり、長い藁を二つに折り曲げたりする方法もあります。どんな形でも納豆は自作できます。要は煮た大豆が詰められればいいので、最もやりやすい方法を選びましょう。
大豆を煮る
大豆を水に1晩漬け、水を吸わせます。これを鍋に入れて水を入れ、十分に火を入れます。大豆を指でつぶせるくらいになれば納豆作りに適しています。指でつぶすことが出来ないときは煮方が足りず、べちゃっと潰れてしまうと煮すぎです。
藁苞にどのくらいの大豆が入るか、初めて納豆を自作する人には見当が付かないと思います。実際に詰めてみて、余った大豆はトマト缶や鶏肉、唐辛子と煮込んだ料理にしたりすることも簡単にできます。
藁苞に大豆を詰める
大豆が煮えたら水を切り、藁苞に包んでいきます。最初に藁苞の藁を広げ、大豆を入れるスペースを作ります。ここに大豆を詰め込んでいきます。藁苞の結び目に近い部分に順に押し込むように詰めていきます。大豆が潰れないような力加減で、押し込んでいきましょう。藁の納豆菌がまんべんなく大豆に行き渡るようにしましょう。
藁苞を殺菌する
藁を使った納豆では、藁にサルモネラ菌が付いていて増殖し、食中毒を起こしたことが過去にあるとかで、現在は藁をそのまま使うのではなく、蒸気や熱湯で殺菌することが義務づけられています。自家消費用なので殺菌をしないで作ろうと思いましたが、一応、熱湯で殺菌します。
大きな鍋に湯を沸かし、大豆を詰めた藁苞を入れます。全体を浸せない場合は両結び目を交互に浸し、真ん中部分にお玉などで熱湯を何度もかけ、十分に殺菌します。
納豆菌を繁殖させる
納豆菌はしぶとく、100度の熱湯をかけても死滅しません。藁の中の雑菌は死滅しますが、納豆菌は藁の中で生きています。この納豆菌が大豆に繁殖し、納豆となっていきます。納豆菌とはいわゆる枯草菌のことです。
熱湯消毒をした藁苞は、雑菌が付かないようにすぐにラップに包みます。このとき、ラップの両端は開けておきます。納豆菌には酸素が必要だからです。
納豆菌は40度くらいが好き
納豆菌は40度くらいで旺盛に繁殖します。40度というのを保つのは難しいので、発泡スチロールの容器に藁苞を入れ、お湯を入れたペットボトルや使い捨てカイロを入れ、温めます。お湯は冷めたら入れ替えます。炬燵に入れたり、布団に包んだりする方法もあります。季節によって、保温方法を工夫しましょう。
この状態を保つと、2~3日で納豆菌が大豆に行き渡り、納豆が完成します。完成したら食べるまで、冷蔵庫で保存します。
藁納豆の香り
藁納豆は市販の納豆と違い、藁の香りがします。納豆の香りよりも藁の香りのほうが目立つため、納豆ができているのかどうか迷うかも知れません。豆が糸を引けば、納豆が出来ています。
藁が持つ自然の納豆菌なので、市販の納豆とはやや香りが異なる納豆ができることがあります。
藁納豆の味
市販の納豆は藁を使わず、納豆菌を添加して発酵させます。藁で発酵させた納豆は、それに比べ随分個性的です。力がある、ワイルドな味、風味をしています。味は格別。納豆好きにはたまらない味だと思います。
水田ビオトープの藁で納豆作り。香り高く力強い納豆ができます↓
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