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目次
いよいよ石窯に火入れ!
赤土粘土を貼り付け終わった石窯に、いよいよ火入れをします。 が、本来であればその日に火を入れるのではなく、石窯の赤土粘土が自然に乾燥するまで、1週間以上待つのがベスト。本来の石窯の作り方です。 赤土粘土は自然に徐々に乾燥していくと、ゆっくり収縮するため、 ヒビがあまり入りません。しかし赤土粘土を貼り付けた直後の、 まだ湿った状態でいきなり火を入れると一気に乾燥するため、 石窯内部に近い部分だけが縮み、 ヒビが入りやすくなってしまいます。
石窯の粘土のヒビは避けられない
それでも火を入れるのは、せっかちだから。 もし十分に自然乾燥をしたとしても、 ヒビはどうしても入ってしまい、 いずれ補修せねばならなくなるので、もういっそ、さっさと火を入れてしまおうということです。石窯に火が入り、 熱されていくに従って、あちこちにヒビが生じます。 そのたびに赤土粘土をぺたぺた貼り付け、 弱い部分を補修していきます。
石窯に点火準備
石窯の入り口に、枯れ草を置いて上に、 良く乾いた割り箸ほどの小枝などを十分に並べます。 小枝の上には小さめの割った薪を、いくつか並べます。 火は枯れ草→小枝→薪の順で燃え移っていきますが、小枝→薪の燃え移りでだいたい、失敗することが多いようです。 小さいほど燃えやすいので、面倒でも丸太ではなく、 細目の割った薪を準備しましょう。
火がつくためには、 まず燃やそうとするものが燃え始める温度に達するまで、 熱する必要があります。小枝は薪が燃え始める温度に達するまで、 十分に薪を炎で熱し続ける量が必要となります。
点火~石窯に魂を入れる

草にライターで火を付けます。草から小枝に徐々に燃え広がり、 一発で薪まで火が回りました。 空気の入り口を塞がないように注意しながら、 次の薪を少しずつ追加し、炎を大きくしていきます。
草や小枝、薪に十分な隙間がないと酸素不足となり、 不完全燃焼が起きて大量の煙が発生します。 こうなるとやっかいで、 うちわで扇いで強制的に空気を送るなどするよりも、 あきらめて1から草や小枝を組み直して、 やり直した方がいいこともあります。 薪が十分に乾いていない場合なども大量の煙が発生するので、 注意が必要です。
Earth Wing
石窯は火がつきにくい?
単なる地面の上でのたき火や、 七輪のような縦型の空気の流れを生む燃焼室を持つ器具で火を付けるのと違い、石窯の火入れにはコツが必要です。 なぜなら石窯は入り口が狭く、奥が深く広い構造なので、 奥の部分に酸素が届きにくいからです。
七輪などは下のほうの吸気口からどんどん自然に空気が入ります。 炭が生む熱とともに上昇気流が発生し、 空気を次々と取り込んでくれる流れができるからです。つまり、 七輪は酸素が入る入り口と、 二酸化炭素が出て行く出口が別々なのです。 これに対し石窯は入り口と出口が一つしかありません。
石窯の燃焼の仕組み
空気の入口と出口を兼ねる石窯の口ではどんなことが起きているの か。実は口の下半分から酸素が入り、 上半分から二酸化炭素が出て行く空気の流れができています。 しかしこの流れは、一度にはできませ ん。
点火した時点では、単なるたき火などと同じで、 石窯の入り口で物が燃焼しているに過ぎません。 しかし石窯に火が十分回り、石窯の奥部で燃え始めた状態では、 独特の空気の循環が起きています。
「C」の字に石窯内部を空気が回る
まず空気が入り口の下方から石窯内に入り、薪の炎で熱せられ、 石窯のドーム部分に次々と集まります。 ドーム内の熱せられた空気は、 次々と上がってくる熱せられた空気に押し出され、 入り口の上方から外に排出されていきます。
つまり石窯内では空気は、アルファベットの「C」 の字を下から書いたような流れとなっています。 この流れがうまくできなければ、石窯の中で不完全燃焼が起きてくすぶり、大量の煙を出します。これでは石窯の温度がいつまでも上がりません。
火を石窯内で移動させていく

入り口でいくら火を燃やし続けても、「C] の字の空気の流れはできません。入り口付近の燃焼点を徐々に、 ドームの下の奥部に移動させていく必要があります。 燃焼点の移動の仕方はふたつ。 ひとつは少しずつ薪を奥へ奥へとくべていく方法。 もう一つは少しずつ、 燃えている薪を奥に押し込んでいく方法です。
いずれも拙速だとドーム内で不完全燃焼となり、 煙地獄になってしまいます。焦らず徐々に、 様子を見ながらじっくりと移動させていきましょう。
石窯に火を入れるとヒビが入りますが驚かないでくださいね。次回の「石窯の作り方」は、石窯のメンテナンス、補強についてです。
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