餅をつこう!!
つきたての餅は格別。慣れれば準備、後片付けも意外と簡単(撮影:趣味千編集部)
 

杵と臼で餅をつこう

餅つきというのは誰もが知っていることですが、実際に自宅で餅をついているという人はそう多くありません。しかし普通に餅をつく分については、特に難しい技術が必要とされたりするものでもないので、ある程度の体力がある人は運動がてら、餅つきに挑戦してみても面白いものです。自分で杵と臼でついた餅というのは味も格別。今回は西日本でよく食べられる丸餅のつきかたの簡単なリポートをお送りします。

準備するもの

臼や杵のほかに、餅を臼からはがすしゃもじも必要(撮影:趣味千編集部)

 

餅つきに必要な道具は、杵と臼。餅を並べる「もろぶた」などと呼ばれる箱や、ついた餅を丸めるための板などです。石臼は3~4万円ほどで、ホームセンターなどに売っています。御影石をくりぬいて作ったものが多く、頑丈な木の台がついています。1升から3升まで、様々なサイズがあります。杵は3千円前後から。大人用や子ども用も売られています。
餅を丸めるための板も含め、ホームセンターに行けばだいたい手に入ります。

どのくらいつくか

5キロのもち米だと、2臼くらいつく計算となります。普段、あまり運動をしていない人にとっては、2臼つくのも結構な運動となります。今回は8人分、10キロつくことにしました。
3臼はただの白い丸餅を雑煮用などに作るのに充て、1臼は、あんこ餅、イチゴ大福、ネギ餅、酢餅などを作ることにします。

もち米とあんこの準備

十分に水を吸わせておかないと上手く蒸せない(撮影:趣味千編集部)

 

もち米は十分に水を吸わせておく必要があります。できれば前日の夜に洗い、ボールなどにつけておきましょう。米の乾燥度にもよりますが、5時間以上はつけておきたいところです。
あんこは、練りあん、粒あんとして既に売っているものでも良いですし、じっくりと自分で作っても良いでしょう。餅がつき上がるまでに十分に冷やし、ゴルフボールほどの大きさに丸めたあんこ玉を、あんこ餅の数だけあらかじめ作って浸しておくおきます。

もち米を蒸す

もち米はせいろに蒸し布を敷いて入れ、2キロほどずつ蒸します。蒸す時間は火力によっても異なりますが、だいたい30~50分ほどです。時々もち米を食べてみて、芯が残っていないかチェックすると良いでしょう。
もち米が蒸し上がるまでに、臼を温める必要があります。やかんや鍋に湯を沸かし、何度か臼に注ぎます。この作業は熱湯消毒を兼ねていますので、杵にも十分に熱湯をかけましょう。

臼はすぐ冷える

何度も熱湯を入れて臼を温める(撮影:趣味千編集部)

 

気温が低い日に餅をつくと、臼が一気に冷たくなります。臼が冷めると餅米が固くなり、餅がなかなかつけなくなります。熱湯を定期的に注いで臼を温める必要も出てきますので、お湯は常にわかし続けた方がいいでしょう。
臼に入れたお湯はひしゃくなどでくみ出し、餅がくっつかないように杵を浸しておくバケツなどにため、杵も十分に濡らし、温めておきましょう。

おにぎりを作る

十分に温まった臼に蒸し上がったもち米を投入(撮影:趣味千編集部)

 

米が蒸し上がったら、少し取り出して、塩昆布や青のりを混ぜたおにぎりを作るとおいしいです。餅つきは腹の減る作業。しっかりと食べないと「シャリバテ」になるので、ほんの少しだけおにぎりを作っておくと助かります。蒸したての餅米のおにぎりは、つきたての餅に劣らないほどおいしいものです。

餅をつき始めるまえに

臼を十分に温め、もち米が蒸し上がったら、早速餅つきです。もち米をせいろから臼に移し、蒸し布を取ったら、まずは杵で餅米を潰します。いきなり杵を振り下ろしてついてはいけません。
杵で臼の中の餅を練り潰す作業は、とても重要です。最初にこうしておかないと、餅米が飛び散って、全く餅つきになりません。餅つきの8割は、この「練り」の作業だと言ってもいいくらいです。

「練り」の方法

「練り」は最も重要な作業(撮影:趣味千編集部)

 

2人以上のつき手がいる場合、練りは向かい合って、互いの杵で押し合うようにすると効率的です。臼に餅米を押しつけ、伸ばすように、杵で餅米を押し合うように練っていくと、すぐに粘りが出てきます。杵の首部分を餅、もたれかかるように体重を利用して、練ります。米粒がつぶれてしまうまで十分にこの作業をしておくと、あとが楽です。

いよいよ餅つき

十分に餅米が練れたら、いよいよ餅つきです。よく濡らした杵で、臼の中心に向かってつき込むようにします。複数人でつくときは、一番体力がない人の杵に、動きを合わせましょう。
上手な人は餅が常に中心に来るように、絶妙な杵を入れます。餅がつけるのは、餅の臼と面した部分となりますので、時々ひっくり返し、上の方のまだ餅になりきれていない部分を下にするようにしましょう。

つき上げ

返し手と息を合わせてつき上げる(撮影:趣味千編集部)

 

米粒が見当たらなくなって餅らしくなってきたら、最後につき上げましょう。返し手とつき手が1組となり、調子よくつきあげます。慣れていない人は返し手とタイミングが合わず、けがをする危険があります。ゆっくりで全く構いませんので、とにかくテンポを合わせることに注意してつき上げましょう。
返し手はよく濡らした手で、端の餅を臼の中心に持っていきます。つき手は臼の中心部分に性格に杵を下ろすようにしましょう。餅が一回りし、餅の肌が美しくなったなと思ったら、つき上がりです。

餅を丸める

つき上がった餅は、よく濡らした手で持ち上げ、餅とり粉を十分に広げた板の上に置きます。そして熱いうちに丸餅の大きさに、ちぎります。親指と人さし指で「OK」の形を作るようにし、そこから押し出された餅を次々とちぎるのがコツですが、大変熱い作業です。お年寄りには、ほとんど丸める必要が無いくらい上手にちぎる人がいますが、熱くないのだろうかと、毎回感心してしまいます。
丸めた餅はもろぶたに並べていきます。その後は、なるべく寒い場所に置き、ある程度固まるまで、放置します。
よくつけた餅は、ちぎるだけで自然に丸まる(撮影:趣味千編集部)

いろいろな餅

全国にはいろいろな餅の食べ方があります。いくつかを紹介します。

●酢餅

大根の辛味と橙の酸味が絶妙な酢餅(撮影:趣味千編集部)

 

餅をつくときに、少しずつお湯を加えて、軟らかい餅を作ります。大根おろし、橙の搾り汁、しょうゆを混ぜて酸っぱい大根おろしを作り、その中についた餅を一口大にちぎって入れていきます。酸味と大根の辛みが餅によく合っておいしく、また大根おろしが餅の消化を助けてくれます。冷たい場所においておけば、数日間、日持ちがします。

●ネギ餅

きざみネギ、鰹節、しょうゆを混ぜたものを、餅で包んで食べます。ショウガを入れても良いです。日持ちがしませんので、作ったらなるべく早く食べるしかありません。つきたての餅をちぎり、その場で食べるのが最高です。

●きなこ餅

砂糖は思いきって入れよう(撮影:趣味千編集部)

 

きなこに砂糖を入れたものに、柔らかくついた餅を一口大にちぎり、まぶしていきます。きなこに思いっきり砂糖を入れるのがコツ。きなこと同量の砂糖を入れるという人もいます。砂糖の量に思わずひるんでしまいますが、かなり入れないと甘くなりません。

●イチゴ大福

つきたての餅であんこ玉を包み、あんこ餅を作る際、あんこ玉の中にイチゴを入れておくと、簡単にイチゴ大福ができます。イチゴの酸味と香り、あんの優しい甘さ、餅米の香りが三位一体となって最高のおいしさ。絶対おすすめです。甘い温州ミカンをいれてミカン大福にすることもできます。
イチゴとあんこ玉を一気にくるむ(撮影:趣味千編集部)

後片付け

餅をつき終わったら、しっかり後片付けをしましょう。臼にすり切りまでお湯を張り、こびりついた餅を浮かします。その後、たわしや中華鍋用のささらを使って餅をはぎ取り、もう一度熱湯をかけてよく乾燥させてしまいます。
杵や餅を丸める台もしっかり乾燥させ、カビなどが発生しないようにしましょう。

餅つきは簡単

餅つきの持つイベント力は、かなり高いものです。体を動かし、その場で食べることができるという点に加え、晴れの日の古来からの伝統行事であるという点が、バーベキューなどとはひと味違った高揚感を与えてくれるようです。子どもたちなどは体験させるととても喜びます。
かつては青のりやヨモギをつき込んだ緑の餅、クチナシやウコンで色づけた黄色い餅、紫蘇をつき込んだ赤い餅の三色を作ってかき餅やあられを作る、本格的な餅つきをする家庭もたくさんありました。ぜひ餅つきに挑戦し、腕を上げたらかき餅やあられ作りにも挑戦してみてください。
 
餅つきの映像はこちら↓
 
 
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