アクアポニックスの大型化、多段化

超簡単 アクアポニックスでトマトを育てる①

超簡単 アクアポニックスでトマトを育てる②

 

多段式のアクアポニックスのポンチ絵。ナマズのような肉食魚の方が野菜がよく育つ気がする(作画:趣味千編集部)

アクアポニックスの大型化で収量アップ目指す

ワインが入っていた樹脂のドラム缶。元々は雨水を溜める予定で購入したが・・・(撮影:趣味千編集部)
 
アクアポニックスは大きくて広い培養槽を使うと、それに応じて収量が上がっていきます。トマトの水耕栽培では、「大樹」とも呼べる巨大な木に成長したトマトが、数千のトマトを実らせることが知られていますが、アクアポニックスでもまた、大きな規模で多収穫を狙うことが可能です。
前回はゴミ箱を使ったアクアポニックシステム(超簡単 アクアポニックスでトマトを育てる①を作りましたが、今回はより大型にすべく、輸入ワインの入っていたプラスチックのドラム缶を使って大規模化を図ります。
 

本来は雨水をためて活用する予定だったが・・・

金魚を飼育する場所となる果物籠。糞や食べ残しは網目から下に落ち、分解されて野菜の栄養分となる(撮影:趣味千編集部)
 
プラスチックのドラム缶は元々ワインが入っていたもので、開けたらブドウの香りがまだ残っていました。ドラム缶の容量は200リットル~220リットル。雨水をためて利用する計画でしたが、東京電力の原発がメルトダウンし、放射性物質が広く拡散したことや、PM2.5が飛来してくることなど、雨水を汚す数々の汚染の問題が生じたため断念、放置していました。
しかしアクアポニックスは水を循環して使うため、最初に導入する水が安全ならば、こうした外的な汚染の影響は受けにくいという利点があります。
 

ドラム缶アクアポニックスの作り方

今回活躍してくれると期待を寄せるのは、この可愛らしい琉金たち。きれいな素赤だ(撮影:趣味千編集部)

 

ドラム缶の蓋には切れ込みを入れ、開閉できるように蝶番が取り付けた改造をします。底部には水抜き用のボールバルブを取り付け、上部にはオーバーフロー用のホースも取り付けました。蓋の穴は植え穴に利用できます。
蓋を開けた開放部分に果物の収穫用のカゴを入れ、これを金魚の飼育カゴにします。園芸用の針金で縁に引っかけ、そこに金魚を入れましょう。エアポンプを設置して、ドラム缶の底にエアストーンを投入してできあがりです。琉金4匹と、ヒメダカ4匹を投入し、スターターの肥料としてひとつかみの油かすを投入すれば完了です
 

トロ舟を使った多段式アクアポニックスの作り方

トマトの苗は何でもよい。「コクがある」という品種がうまそうだったので、選んでみた。元々のネジ式の蓋を開け、ウールマットで苗を固定(撮影:趣味千編集部)

 

趣味千ではおなじみのトロ舟を使ったアクアポニックスシステムも、簡単に作ることができます。トロ舟を階段状に重ねることで、かなり広い面積で、いろいろな種類の作物を育てることができますし、水槽ごとにナマズなどの肉食魚、金魚などの雑食魚を飼育することもできます。
トロ舟に「ホルソー」などの道具で穴を開け、そこに塩ビの「ソケット」という部品を取り付けます。上段であふれた水はこのソケットから下の段のトロ舟に流れ込む構造です。この構造を連続させ、3段、4段の栽培槽を作っていきます。最下槽に熱帯魚用の水中ポンプを置き、最上槽に汲み上げます。
 

飼育槽には金網を

アクアポニックスはベランダでも実力を発揮。9月末に植えたトマトも爆発的に成長し、春菊とともに初冬に収穫することになった(撮影:趣味千編集部)

 

飼育槽には金網で蓋をしましょう。魚がジャンプして飛び出るのを防ぐためと、アクアポニックスにサギなどが飛んできたときに、食害を防ぐためです。
ソケットに魚が吸い込まれないようにするために、ソケットに穴を開けたペットボトルを被せると良いでしょう。または、鉢底から土が流れ出るのを防ぐための樹脂の網を切って、結束バンドなどで結んでおきましょう。
 

地震に注意

たった一粒の種から、ジャングルのように繁茂したスナップエンドウ。「ジャックと豆の木」状態となり、食べきれないほど実る(撮影:趣味千編集部)
 
多段式の場合、段が上になるほど不安定になります。水をたたえたトロ舟は重量が増し、倒れれば大変危険です。地震などで倒壊する恐れもありますし、興味津々の小さい子どもが見に来てぶら下がったりする可能性も十分考慮し、あまり高くて不安定な構造にならないように注意しましょう。
 
 
超簡単 アクアポニックスでトマトを育てる②
 
 
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