1カ月間稲掛け
水田ビオトープで収穫した稲穂を、物干し竿に干して約1カ月。カラカラに乾燥しました。1週間干せばいいとか、1カ月以上干すとか、いろいろな説がありますが、収穫したタイミングによるので、一概には言えません。まだ緑色が多い稲藁ならば、十分な時間干す必要があります。
軒下に置いていたので雨の影響は受けませんでした。スズメも、稲穂に止まることが出来ないようで、食害はありませんでした。
農家に教えてもらったところでは、稲は枯れ切ってしまうときに、茎や葉にある全ての栄養素を籾に集めるとのこと。それにより米の味が良くなるとのことです。
指で脱穀
現代のコンバインは大変万能で、稲を刈り取り、脱穀し、藁を粉砕するところまでやってくれます。脱穀作業は戦前は足踏み式の脱穀機を使っていましたし、それ以前は「千歯扱き」という櫛の歯のような道具を使っていました。他にも、中国の武器の「三節棍(さん・せつ・こん)」のような形をした「唐棹(から・さお)」や、「扱き箸」というものを使っていました。
しかし今回は指で挟んで稲穂を引っ張り、しごくようにして脱穀しました。量が少ないのでこれでも脱穀できますが、指がガサガサになってしまうので、ある程度の量が収穫できた人は、せめて扱き箸くらい使いましょう。
風で籾などを飛ばす
脱穀した籾には、実が詰まっていない籾や、スズメが食べて空になった籾などが混じっています。収穫した籾を、風が強い日に高い位置から何度も落とすと、こうしたものが吹き飛ぶので、食べられる籾だけを集めることができます。
現在は高性能の選別ができる機会がありますが、それまでは手回しの風車で人工的に風を起こし、空の籾を吹き飛ばす「唐箕(とう・み)」という道具が主力でした。
風で飛ばされた籾を、ニワトリたちが突っついて食べています。いくらか実が入ったものがあり、それを食べている様子です。
軟式ボールとすり鉢で籾摺り
こうして収穫した水田ビオトープの籾は、だいたい3合ほど。籾摺りをしたらもっと減って、2合くらいになってしまいました。
籾摺りはかつては木の臼や、鹿威し式の臼で行われ、現代は籾摺り機で行うのが一般的です。1升程度までなら、軟式ボールとすり鉢を使って行うのが主流です。小学校の理科や社会の授業などでバケツで稲を育てたりしたら、よくこの方法で籾摺りをしています。
方法は簡単で、すり鉢に少し籾を入れて、軟式ボールを押し当てて回すだけ。籾が脱げて、玄米が残ります。籾殻は吹いて飛ばして、玄米だけを集めます。
米を搗く
こうして集めた玄米を精米します。ビール瓶に玄米を入れ、木の棒で突いて精米する方法は、戦時中や終戦直後などを扱ったドラマでよく見ることと思います。
籾摺りと違って、ビール瓶には玄米をある程度の量、入れておくことが大事です。少ないと木の棒で玄米を突き崩してしまうことになります。
精米した米を手に入れるまでの課程は以上です。水田ビオトープのわずかな稲穂でしたが、なかなか手間がかかるものです。機械化する前の農作業は相当大変だったろうなと、思い知らされます。
水田ビオトープの恵み第一弾は”お米”でした。動画もYouTubeにUPしています↓
水田ビオトープの稲藁で、納豆を作りました。力強い美味な納豆になります。
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