稲作をしよう⑥水田ビオトープのひこばえ
水田ビオトープに咲いたコナギの紫色の小さな花(上)稲刈り直後の水田ビオトープ(下)(撮影:趣味千編集部)

コナギの花

稲刈りを終えた水田ビオトープは、稲がなくなった分だけ日が当たり出したせいか、水田雑草が勢いよく伸び始めました。プラ舟の中にはタマガヤツリなどのカヤツリグサの仲間や、コナギなどが生えていますが、特に目を引くのが「コナギ」です。
コナギはミズアオイ科の植物で、外来種のホテイアオイなどと同じ仲間です。ハート形の葉をし、「葉柄」という、フロートを持って水に浮かぶようになっていますが、全体的にホテイアオイよりもずっと小さく、ささやかな植物です。紫色のきれいなかわいい花を咲かせます。

咲きかけているコナギの花。ホテイアオイなどの仲間だが、ずっとささやかだ(撮影:趣味千編集部)
コナギはあまり大きくならないし、日陰でもよく育つ(撮影:趣味千編集部)

 

タマガヤツリ

チアリーダーが手に持っている「ボンボン」や実をつけるのが特徴の「タマガヤツリ」も、たくさんの種をつけています。線香花火が飛び散ったようなカヤツリグサとは種の付き方が異なっています。
カヤツリグサの仲間ではシュロガヤツリというマダガスカル原産の外来植物があちこちに繁茂していますが、幸いこの地域ではまだ見かけたことがありません。
カヤツリグサの仲間であるパピルスが紙の原料として使われることは有名ですが、タマガヤツリ、カヤツリグサも同様に紙を作ることができます。

ひこばえ

稲の株のひこばえに混じり、落ちた籾からもちょこちょこ芽が出ている。しかし残念ながら冬がすぐ来る(撮影:趣味千編集部)

 

稲を刈ったあとの株から、緑の芽「ひこばえ」が再び伸びてきました。ひこばえとは「蘖」と書き、木の切り株などから生えてくる新芽のことで、地方によっては稲の切り株から生える二番穂についてもそのように呼びます。稲のひこばえは普通、「稲孫」や「穭」と書き、「ひつじ」などと呼びます。
温暖な地方ではこのひこばえから再び米を収穫します。ここは高地なので恐らく無理ですが、伸ばせるまで伸ばしてみようと思います。

何かの小さな芽が水底からいっぱい出ている。水田の生き物をはぐくむ力は強い(撮影:趣味千編集部)

 

落下した籾が発芽

水田ビオトープは周年湛水としたため、水を落として干上がらせていません。ここに収穫の際などに落下した籾が落ち、発芽を始めていました。野性の稲はこのようにして湿地などで分布を広げるのが、よくわかります。
既に10センチほど伸びたものあります。このままでは冬の寒さで枯れてしまうのは目に見えていますが、残念ながら仕方ありません。

稲刈り後の生物たち

タニシも元気。盛んにビオトープの水底をはいずり、分解しかけた植物や藻類を食べている(撮影:趣味千編集部)

 

稲刈り後も水をたたえた水田には、まだ様々な生き物がいます。水温が下がったのでミジンコやイトミミズがうじゃうじゃいる夏の景色のようにはなりませんが、水生昆虫やタニシなどは旺盛に動き回っています。
明らかに魚に見える泳ぎ方をする生き物の黒い姿も見えました。2センチほどで、体をくねらせて素早く泳ぐ姿はメダカにも似ています。水田ビオトープには全く魚類を入れていないはずなので、正体は謎です。カエルが卵を産んでオタマジャクシが生まれたにしても、たった一匹ですし、カエルの姿を見ませんし、なにより、下にニワトリ小屋がある状況でカエルが水田ビオトープまで登れるかは疑問です。
水を枯らさないようにして育て、そのうちその姿をカメラに収めてみたいと思います。

ひこばえの伸びた水田ビオトープの動画はこちら↓

HOMEへ

 

水田ビオトープカテゴリの最新記事