葛の花の天ぷら

葛の花の天ぷら

野草や山菜を楽しみ季節を感じる↓

山菜を採取して食べよう①

山菜を採取して食べよう②ワラビを味わう

 

からりと揚げた葛の花。薄紫で美しい季節感を楽しむ天ぷらの一つだ(撮影:趣味千編集部)

葛は多用途

旺盛に茂り、ガードレールを覆いつくす葛。甘くさわやかな香りがする(撮影:趣味千編集部)

 

旺盛な繁殖力を持ち、海外では外来種として大問題になっている葛ですが、葛は厄介者ではなく、様々な利用ができる、マメ科の植物です。
葛は動物の飼料として重宝されただけでなく、繊維が糸として用いられたりもしました。食用としても長年利用され、現在でも葛粉などとが使われています。根は、薬用として葛根湯の原料となるのは有名です。花びらをお茶として利用することもあります。
今回はこの葛の花を天ぷらにしてみました。

葛の花

 

葛の花は8月後半くらいから咲き始めます。マメ科らしく、藤の花のように房状で、紫色をしています。
葛が多く茂った場所で、葉をめくると見つかります。葛の花は葉の陰に隠れるようにして咲いていることが多いです。
葛の花を摘んだら、まずは香りをかいでみましょう。良い香りのする花は色々ありますが、葛の花の香りは別格かもしれません。甘い香りでありながら爽やかさもあり、印象にいつまでも残る力強さもあります。香水にしてしまいたいほどです。

葛の花の天ぷらのレシピ

葛の大きなハート型の葉の陰に隠れるようにして咲く花。大変美しい紫色のグラデーション(撮影:趣味千編集部)

 

葛の花の天ぷらは簡単に作れます。摘み取った葛の花を水洗いし、ホコリなどを洗い流します。水気を拭き取ってから天ぷら粉に付け、180度に熱した油でさっと揚げます。
葛の花はヨモギなどと違い、植物自体が持つ強い香りなどがありませんので、油は香りが強いごま油などではなく、なるべく香りがない菜種油などを使う方がいいでしょう。

葛の花の天ぷらの味

葛の花は、爽やかで甘く、とても印象的な香りがする(撮影:趣味千編集部)

 

葛の天ぷらは紫色の花びらが美しく、見た目は大変美しいものです。しかし花自体は非常にささやかな香りしか持ちませんので、ヨモギやシソ、ミョウガなどの天ぷらのように、しっかりとした香りと味があるわけではありません。
なので揚がった葛の花は、天つゆなどではなく、塩で食べた方が良いでしょう。味や風味を楽しむというよりも、季節感や色を楽しむという感じです。

飼料としての葛

葛の葉は乾燥させて保存もできる。ウサギの良いおやつになる。ドワーフ・ホトの「マッフィー」は、パリパリの葛がお好き(撮影:趣味千編集部)

 

ウマノボタモチなどという方言があるほど、葛は草食動物に人気。牛馬はもちろん、ウサギやヤギ、ハムスターなども、喜んで食べます。ポリフェノールを多く含むため、ウサギなどは葛を食べたあとに尿が、赤茶色になることがあります。
地方の自治体などでは、繁殖力が旺盛な葛を飼料として見直そうという実験も行われています。

食用としての葛

葛の花束。花は落ちやすいのでそっと扱おう(撮影:趣味千編集部)

 

よく知られているところで言うと、葛餅の材料などになる葛粉があります。根を掘り、そこから取り出した澱粉を使い、加工して作るものです。本当の製法で作られた葛粉は高級品で、様々な和菓子作りや日本料理に用いられます。

日よけとして

肥料などを必要としなくても旺盛に繁殖する葛の力強さを利用し、趣味千では緑のカーテンを作っています。虫に食べられることもあまりなく、選定しなければ家を乗っ取られるのではないかとおびえてしまうほど、葛のカーテンは伸び、数千枚の葉が夏の紫外線から守る盾になってくれます。

もっと葛の利用を

葛の花は味や香りの強さはないので、揚げ油は香りの弱いものがよい(撮影:趣味千編集部)

 

このほか葛から繊維を取る方法もあります。この繊維を用い、糸や紙を作ったりすることも可能です。葛の蔓を編んで、籠を作ったりすることもできます。
過疎化で放置された空き家などは、真っ先に葛に巻き付かれ、廃屋と化していきますし、放置された杉林、栗林なども葛にダメージを受けたりします。葛を様々に利用する知恵が復活させ、新しい利用法も研究されれば、環境を守ることにもつながるでしょう。
葛の花の天婦羅、色が良くほかの天婦羅の添え物にしても季節感を味わえます↓
 

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