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屋外アクアリウムの注意点
屋外で熱帯魚などを飼う場合、どうしても雨が心配になります。雨によっては水質を激変させてしまい、熱帯魚やメダカ、ニシキゴイなどを一気に全滅させてしまうこともあるからです。屋外に設置したプラ舟、トロ舟のビオトープでも同じ危険があります。
特に活発な噴火活動をする火山が近い場合は、注意が必要です。風向きに注意し、火山灰を多く含んだ雨が降りそうな場合は、ブルーシートで池を覆うなどして、池に雨水が入らないようにする必要があります。
放射性物質を含む雨がたまって線量が高くなることや、PM2.5のような化学物質を含んだ雨が降ることもあるので、雨水は油断できません。
定期的に水替えを
屋外の池などで魚を飼う場合は、定期的に水道水などを加えて水を入れ替えましょう。発生したプランクトンが流れたり、濾過槽のバクテリアにダメージが加わったりすることは避けられませんが、たまった雨水が蒸発を繰り返して濃縮されていく恐れがあります。自然の池や川は雨のたびにあふれ出して水が入れ替わっていますが、水を循環させるビオトープや屋外飼育の池の場合、汚染物質が濃縮されていく可能性があります。
水抜き穴を設置する
直接的な雨の被害もあります。熱帯魚池からあふれた水とともに、熱帯魚が流されてしまうというものです。
多くの淡水魚類は、産卵のサイクルが雨期と連動しています。大雨が降ると産卵場所に本能的に向かおうとし、流れ出す水とともに下ったり、上ったりすることがあります。そうしてあふれ、地面で干からびることがないように、一定以上の水位となった場合に水が流れていく穴を設置しておくと、安心です。
ストレーナーはペットボトルで
水と一緒に魚が流れてしまわないように、ストレーナーを設置します。ストレーナーはちょうど良い専用のものが手に入らなければ、ペットボトルで作ります。
ペットボトルを準備し、飼育池内の最も小さな魚が出て行けない程度の穴をドリルや錐で開けます。ペットボトルの強度に影響が無い限り、まんべんなく、たくさん開けた方が、水草などが詰まらなくて良いです。まんべんなく穴を開ける理由は、水面下の穴が詰まった場合、ペットボトルを回転させて詰まっていない穴を水面下に向けることができるようにするためです。
トロ舟に穴を開ける
次にトロ舟に水が出ていく穴を開けます。穴は「ソケット」や「バルブソケット」と呼ばれる、塩ビの継ぎ手部品の直径にに合わせて開けましょう。
木工または鉄鋼用ドリルで開けるのが、最も簡単です。ドリルの刃が滑らないように、最初に小さい穴を開け、そこにドリルの先端を差し込んで開けると良いでしょう。
ソケットを力ずくでねじ込んでちょうどぴったり入るくらいの穴が良いですが、もしブカブカになったら、ソケットにOリングをかませて両側から締め上げましょう。
穴の大きさ
開ける穴の大きさは、指が入る程度のものにしましょう。穴が小さく、豪雨の際に排水が間に合わないようであれば、もう一カ所追加します。最初からあまり大きな穴を開けると、穴の直径が大きくなって水位が下がってしまうからです。プラ舟、トロ舟の面積に合わせ、徐々に排水穴を増やしていくと良いでしょう。
水草の切れ端や落ち葉などの浮遊物が多く、ペットボトルが詰まりやすい場合は、ペットボトルをひとまわり大きなものに代えるか、ペットボトルの周囲に鉢底用の網などをフェンスとして張り、詰まりを防ぎましょう。この排水方法は、プラ舟やトロ舟のビオトープにも、同様に設置することができます。
大雨が予見されるときは
異常な大雨が長時間降り続くことが予想され、飼育池の排水機能を上回ると想像される場合は、飼育池にブルーシートをかけるなどして、雨そのものの流入を防ぐ方法もあります。特に前線が停滞するなどし、線状降水帯と呼ばれる、次々と同じ場所で雨雲が発生する状況となった場合は、こうした対策が有効です。
また前線や台風が通過するなど、降水量は多いが降水時間は短いと予想される場合は、あらかじめバケツなどで飼育池の水を汲み出し、水位を低くしておく方法もあります。
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プラ舟でお手軽に。庭を大改造して大きなものも。