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ハガツオはうまい
ハガツオはカツオに似た姿をしていますが、カツオよりややスマートです。歯鰹の名の通り、小さな歯が目立つ口をしています。カツオが体側の縞模様が腹側にあるのに対し、ハガツオの縞模様は背中側です。
黒潮や対馬海流に面した防波堤などでは時々、サバなどを追って寄ってくることがあり、条件が良ければ非常に簡単に釣ることも出来ます。ただし針掛かりすると突っ走るため、丈夫な仕掛けで無ければすぐに糸を切られてしまいます。
カツオに比べると身の色が薄く、サワラなどに近い印象です。味はカツオに劣りません。
たたきと藁焼き
カツオのたたきというと表面をあぶった半生タイプのものが思い浮かぶ人も多いと思いますし、表面をあぶったものを「たたき」として供することもよくあります。が、藁を燃やした炎で表面をあぶったものは、「藁焼き」とも呼ばれます。
高知ではカツオは刺し身でよく食べます。藁焼きにせず、酢味噌にニンニクとニンニクの葉をすり下ろした緑色のソース(ぬた)を付けたり、スライスのニンニクを載せたりして楽しみます。藁焼きももちろん食べますが、焼く手間が面倒くさいので、刺し身で食べる機会が多かったです。
藁焼きの起源
藁焼きは、司馬遼太郎の「功名が辻」の主人公の山内一豊が、長宗我部が治めていた土佐の主になった際に、食中毒を防ぐために魚を焼くよう命令したのが起源だという説をはじめ、様々な説があります。アニサキスのような寄生虫を防ぐためだとか、西洋料理のステーキの焼き方「レア」が参考となっただとかいう説もあります。
ただ「焼き魚」という調理は有史以前からある調理法で、その中でせっかちな人が生焼けを食ったということくらい当然あったはずですし、そこで半生のうまさに気付いた人間は当然いたでしょう。
藁焼きの意味
魚の皮はあぶれば香ばしさが増します。にぎりずしでも炙りは人気が高いものです(なんでも炙ればおいしいわけではありません)。バーナーで皮を炙るだけでも、脂、皮のうまさは格段に上がります。
藁は瞬間的に強い火力を出すことが出来ますので、皮を高温で短時間あぶり、中を半生のままにすることができます。皮は焼けて柔らかくなり、皮の下の脂が浮いて美味になります。藁の香りも燻製のような香りを付けてくれます。
ハガツオをさばく
バルキーノの職人さんが東シナ海の外洋に面した漁港からバルキーノを流し、50センチくらいのハガツオを何本か釣ってきました。これを藁焼きにします。
まず出刃包丁でハガツオの頭を落とし、腹びれを落とします。それからわたを出し、背びれに沿って「V」型に溝を入れて、背びれを抜きます。尻鰭も切り落とし、3枚におろします。おろした身から腹骨などを切り取り、柵をとります。
アラはアラで煮付けたり、オリーブ油で低温調理しますので、骨に肉が多くついていてもかまいません。
金串を打ち炙る
柵に金串を打ちます。ウナギなどと違い、簡単に串は身と皮を通ります。扇形になるように串を打ち、持ちやすくしましょう。
まずは藁の炎で、皮側を焼きます。皮は生では硬いのですが、焼けてたんぱく質が固まると破れやすくなり、嚙み切れるようになります。生臭さも無くなりますので、炎が直接あたるようにし、しっかりと火を入れます。
皮側が十分に焼けたら裏返し、火を入れます。表面の色が変わって少しの間火を入れますが、入れすぎは禁物です。
氷水でしめる
表面が焼けたら氷水に入れ、しめます。このときに藁の灰なども洗い流します。表面の熱を取り、それ以上余熱が芯に入らないようにします。
十分にしめたら、さらしなどで余分な水分をとります。すぐに食べるのがおいしいですが、冷凍するならばポリ袋などに入れて十分に空気を抜き、すぐに冷凍しましょう。
いろいろな食べ方
カツオにはユズ、カボズ、ダイダイなどの柑橘の搾り汁やしょうゆ、わさび、ニンニク、マヨネーズ、七味唐辛子など、いろいろな調味料を付けて食べることができます。
土佐の皿鉢料理のように、どっさりと大皿にハガツオの藁焼きを並べてみました。健啖家は最初にわさびじょうゆ、次にポン酢じょうゆで食べていました。この順番で食べ、最後に「しょうゆマヨネーズ+おろしニンニク+七味」という強烈なソースを作って付けて、熱い白飯に。共にかきこむととてもうまいんだとか・・・。工夫して、お好きな食べ方で召し上がるのが良いでしょう。