日本鶏図鑑03 土佐地鶏

  • 2023.04.03
日本鶏図鑑03 土佐地鶏

日本鶏図鑑03 土佐地鶏:解説 都築政起・広島大学名誉教授

㊤㊦かわいらしい土佐地鶏の雌たち(撮影:趣味千編集部)

昭和16年、天然記念物指定。高知県を原産地とする、典型的な赤笹(野生型)羽装をもつ品種である。脚は黄色、耳朶は赤色である。本品種は、全日本鶏品種中で最も小型な範疇に入る。全国日本鶏保存会が1997年に出版した『日本鶏審査標準』によれば、本品種成体の標準体重は、雄675 g、雌600 gである。

雌の羽装は梨地(なしじ)と呼ばれることもある。雌が示す羽の色と模様が、表皮の地色が褐色系である上にブツブツをもつ梨の実を連想させることに由来していると思われる。

老齢のものの羽には、若い個体には存在しない白色部が出現することがある.

㊤㊦羽の模様が非常に美しい(撮影:趣味千編集部)

雄の襟羽および蓑羽の色、ならびに尾の形状については、愛好家関にその好みに地域差があると聞いている。原産地の高知県では、襟羽および蓑羽は暗褐色が好まれ、関東地方では、より黄色味がかったものが好まれるようである。尾に関しては、高知県では雉尾(きじお)的なものが好まれ、関東地方では車尾(くるまお)的なものが好まれるようである。尚、雉尾とは、野生のキジがもつような直線的な尾のことであり、車尾とは通常の雄鶏が示すような湾曲した尾のことである。さらに、高知県では、垂れた蓑羽ではなく、尾羽に沿う(密着する)ように伸びる蓑羽が珍重される。

ひなたぼっこを楽しむ土佐地鶏。ニワトリは日光浴が大好きだ(撮影:趣味千編集部)
性格はおとなしく、穏やかだ(撮影:趣味千編集部)

赤笹羽装の他に全身白色を示す内種(ないしゅ)も存在する。古老の話によると、過去には、これら以外にも白笹とか猩々とか色々な羽装色を示す個体が存在したようである。また、ゴミ(灰青色)脚や白耳朶を示す個体も存在したとのことである。さらには、五十嵐 正龍 氏が1924年頃に著した『尾長鶏並ニ諸鶏の記』によれば、現代のものよりももっと大型の土佐地鶏も過去には存在したようである。

土佐地鶏の顔(撮影:趣味千編集部)
土佐地鶏の脚(撮影:趣味千編集部)
土佐地鶏の羽(撮影:趣味千編集部)

カテゴリの最新記事