日本鶏図鑑02 小国鶏

  • 2023.03.31
日本鶏図鑑02 小国鶏

日本鶏図鑑02 小国鶏:解説 都築政起・広島大学名誉教授

堂々と胸を張る小国鶏。平安時代にはもう日本にいたという(撮影:趣味千編集部)

昭和16年、国の天然記念物に指定。原産県はない。その祖先は平安時代に中国より我が国にもたらされたというのが通説であるが、確固たる学問的根拠があるわけではない。平安―鎌倉期に作成された年中行事絵巻等に、現在の小国鶏を彷彿とさせるニワトリの姿が描かれていることや、藤原定家の「明月記」の中に小國という文言が見られることに基づいている。

立派な真っ赤な鶏冠。健康な証拠だ(撮影:趣味千編集部)

しかし、その後、大正時代に至るまで、現在の小国鶏を示していると思われる絵画も文章も、都築の知る限り存在しない。現在の小国鶏に相当すると思われるものが初めて認められるのは昭和時代に入ってからである。

雌とともに。周囲を見渡し警戒する姿は、凜々しい(撮影:趣味千編集部)
白藤羽装の小国鶏(撮影:趣味千編集部)

本品種の羽装色は白笹(白藤)、五色(ごしき)、白色が主であるが、一部で、赤笹、黄笹、黒色羽装をもつものも作られているようである。動画の個体は白藤羽装のものである。雄の尾羽と蓑羽は長尾性を示すが、土佐のオナガドリとは異なり換羽を行う。動画の雄の最長尾は95 cm程度である。

雌はどことなくかわいらしい(撮影:趣味千編集部)
純白の襟毛は非常に美しい(撮影:趣味千編集部)

本品種のトサカは単冠、耳朶は赤色、脚は黄色である。ただし、一部には、意図的に柳脚をもつ白藤雌を飼育する愛好家も存在する。

自然そのままの姿を観察するため、広島大学は爪は切らずに管理しているという(撮影:趣味千編集部)

日本鶏審査標準(全国日本鶏保存会, 1997年)によると、本品種の雄および雌成鶏の標準体重は2.0および1.6 kgである。

小国鶏の尾羽(撮影:趣味千編集部)
㊤㊦小国鶏の背中の羽(撮影:趣味千編集部)

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