日本鶏図鑑01 土佐のオナガドリ

  • 2023.03.30
日本鶏図鑑01 土佐のオナガドリ

日本鶏図鑑01 土佐のオナガドリ:解説 都築政起・広島大学名誉教授

日本鶏の王国とも言える高知が育んだ名鶏「土佐のオナガドリ」(撮影:趣味千編集部)

高知県原産。通常はオナガドリあるいはオナガと呼ぶ。昭和27年、国の特別天然記念物に指定。これに先立ち、大正12年、国の天然記念物に指定。その際の名称は「土佐の長尾鶏」。

うまく管理すれば尾羽は一生伸び続ける(撮影:趣味千編集部)

適正な管理を行えば、雄の尾羽と蓑羽の一部が終生伸長を続けることが最大の特徴。尾羽の最長記録には10 mを越えるものがある。1年間に伸びる尾羽の長さには個体差があるが、都築の経験では70~140cm程度。雌では尾羽や鞍羽が換羽を行わずに伸長を続けることはないが、通常の品種に比べれば、尾羽も鞍羽も長めであり、優美さを感じさせる。

どのくらいの長さがあるか、広島大学の学生諸君に尾羽を持ってもらった(撮影:趣味千編集部)

羽装色(内種、ないしゅ)の主なものに白笹(しろざさ)、赤笹(あかざさ)、白色がある。尚、本品種や小国鶏の場合には白笹を白藤(しらふじ)と呼ぶことが多い。画面のオナガドリはこの白藤羽装をもつ雄個体であり、最長尾は約5 mの長さがある。また、過去には猩々(しょうじょう)羽装のオナガドリが存在したが、現在では絶滅しているかも知れない。他方、全身黒色のオナガドリを作出している愛好家も存在すると聞く。白藤および赤笹内種では、その脚色は柳色(柳脚、やなぎあし)である。現在の白色内種は黄脚(きあし)をもつが、都築は過去にゴミ脚(ごみあし、灰色)をもつ白色個体を見たことがある。全内種に共通して、鶏冠(トサカ)は単冠、耳朶(じだ、みみたぶ)は白色である。

尾羽が特徴の土佐のオナガドリであるが、顔つきも精悍だ(撮影:趣味千編集部)

日本鶏審査標準(全国日本鶏保存会, 1997年)によれば、雄および雌成鶏の標準体重は1.8および1.35 kgに設定されているが個体差があることは勿論である。

雌に寄り添う雄の土佐のオナガドリ(撮影:趣味千編集部)

本品種の存在は、日本鶏品種としては珍しく、江戸時代(1859年)」に著された西村廣休の「小品考」の中に明確に認めることができる。

土佐のオナガドリは決して飼育が難しいわけではないという(撮影:趣味千編集部)
ベテランの飼育者は、尾羽がちぎれないよう細心の注意を払う(撮影:趣味千編集部)
土佐のオナガドリの背中の羽(撮影:趣味千編集部)
土佐のオナガドリの尾羽
広島大学が飼育する個体の動画です。迫力のある映像をお楽しみください。

カテゴリの最新記事