雨どい屋上ビオトープを作る⑦レンガを使ったレイアウト

雨どい屋上ビオトープを作る⑦レンガを使ったレイアウト

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雨どい屋上ビオトープを作る⑥底砂として赤玉土を敷く

 

トロ船にレンガを組み合わせて赤玉土の土留めとし、剪定された柳の枝を植えた。これが主木となり、日陰を作るとともに、昆虫を集め、魚付林の役目も果たす(撮影:趣味千編集部)

 

 草木一本生えていない殺風景な屋上に建設した、雨どいとトロ船を組み合わせた回遊式のビオトープ。煉瓦と赤玉土を多用し、植物が生えるエリアを作りました。

煉瓦の魅力

ビオトープは陸域、湿地域を作ると、いろいろな生物が生息する場が広がり、生態系が豊かになる(撮影:趣味千編集部)

 煉瓦は粘土を焼成して作られる建材です。これは水をよく吸う性質を持つため、表面に苔が生えやすいなどの利点が大いにあります(建築物としては利点ではなく、不利な点でしょうけど)。  

 このためビオトープに使った場合、煉瓦に苔を生やしたり、木の根を巻き付くように伸ばしたりすることができます。苔が生えるとそこにある種のトンボが産卵をしたり、昆虫が卵を産んだりするので、一気に生態系が豊かになります。 今回はこうした煉瓦を土留めに使い、トロ船の一部に陸部を作り、いろいろな植物を植えていこうと思います。

煉瓦の種類

(上・下)レンガを古城風に積んだ。レンガは水を吸う性質があるため、やがて苔むし、いろいろな生物のビオトープとなる(撮影:趣味千編集部)

 煉瓦は安いものは100円以下で販売されているものもあります。ただし材質はまちまちで、使用前に注意する必要があります。というのも火山灰を固めたような煉瓦や、セメントを固めた「煉瓦風」の煉瓦もあるからです。

 セメントで出来たような煉瓦は、水質をアルカリ性に傾けたりして、生体に影響を与えることがあります。煉瓦を水にしばらく漬け、phを測ってみるなどして、水質に大きな影響が無いかどうか、確認してから購入、使用しましょう。

石の採取の注意点

「古城」内は赤玉土を充填。ちょっとした植木鉢ほどの空間なので、大きめの樹木も植えられる(撮影:趣味千編集部)

 「自然風」にビオトープを作ろうとして、野山や河川から石を採集するのは基本的に禁止されています。そもそもビオトープを作るのに自然を傷つけては元も子もありません。趣味千も圃場整備や砂防ダム工事、河川改修工事の際に捨てられる石を狙って採取するのみです。

 採取が許可されている場所で官庁の許可を得て採取したところで、自然に影響を与えることには変わりありません。かつて植樹祭の会場を作るために数千本の木を伐採するという考えられない事件がありましたが、同じように、ビオトープを作るために自然を深く傷つけては意味がありませんので、注意しましょう。

煉瓦を使う理由

床に直に雨どい小川ビオトープを作る場合は重量の制限がないため、大磯砂や塩気を抜いた海砂、真砂土なども使える(撮影:趣味千編集部)

 

 前述のような理由で、石が採取できない場合は、煉瓦の使用をお勧めします。ホームセンターで買ってきた煉瓦をビオトープに使っても自然環境を傷つけることはありません。 「煉瓦を使うと『自然風』にならないからビオトープっぽくない」、という気持ちはわからないではないですが、自然風だからといってビオトープというわけではありません。

 環境省が諸法で定義するビオトープは、その土地に昔から生息する生き物が生きる空間となっており、魚介、植物共に、外来種や移入種を入れないのが鉄則です。「自然風な屋外アクアリウム」=「ビオトープ」というわけではありません。

煉瓦で城を作る

赤玉土を敷き詰めたビオトープに水を張る。レンガの古城の中の赤玉土もどんどん水を吸い上げ、最上部までしっかり湿る(撮影:趣味千編集部)

 

 今回の煉瓦の使用方法は、まず最も大きいトロ船に、古城風の土留めを作ることです。外壁がトロ船の外に出るように煉瓦を積み上げ、半分が水中に沈むようにしました。ここに、河川整備の際に伐採されたヤナギの枝を差し、主木としました。煉瓦は苔生し、やがてヤナギは荒城を支配する巨木となり、日陰と落下昆虫をメダカに供給するでしょう。他のトロ船は煉瓦で仕切って赤玉土を入れ、小さなヤナギの枝をたくさん挿しました。

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