⑦循環でビオトープの生態系を豊かに

⑦循環でビオトープの生態系を豊かに

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⑥ビオトープに石積みでヨシノボリのアパートを作る

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①ビオトープで自宅に小川を作る

ビオトープ上・中流域の完成イメージ図。流れに変化をつけるために大小の石を配し、落差を設ける(撮影:趣味千編集部)

ビオトープでも生物は棲み分ける

上水道などに使われる「ポリパイ」。塩ビ管での配管は、計算や精度の高い施工が必要となるが、ポリパイならビオトープの施工も楽だ(撮影:趣味千編集部)

 
淡水魚は河川や湖沼など、様々な環境によって住む魚の種類が変わってきます。例えば川の上流ではヤマメやアマゴ、タカハヤやアブラハヤ、アカザなど。中流にはオイカワやカワムツ、オヤニラミ、カマツカ、ヨシノボリなど。下流にはフナやモツゴ、ナマズ、ドンコなどが生息しています。
ビオトープ・ビオガーデンに流れをつくると、淵や池のような止水も、滝や瀬のような流水も、石の並べ方で表現できます。これにより、短い川ながら、生き物たちはそれぞれ最も生息しやすい水域で棲み分けるようになります。

ビオトープの水温対策

ビオトープの濾過槽から濾過された水を通す塩ビ管と、ポリパイの接続部。特殊な接続金具を使う(撮影:趣味千編集部)
 
山から流れてきた水を庭に引いてビオトープを作ることができたら、一年中清らかで冷たい水が流れるので、とても素晴らしいでしょう。しかし雨水や井戸、水道水をためて遊ぶビオトープの場合は、いろいろと水質や水温に気をつけるしかありません。特にビオトープの池や小川に魚を放つつもりなら、注意を払う必要があります。
プラ舟ビオトープのような小さなビオトープの場合、夏季に直射日光が当たるとすぐに水温が上昇し、一部の淡水魚は生息できなくなってしまいます。水深が浅ければ、真夏には40度近くまで上昇し、ドジョウやフナにとってさえ、過酷な環境となってしまいます。
循環型のビオトープ・ビオガーデンを作る時には、せっかくなので循環の配管の一部を地下に埋設し、ある程度の冷却または保温ができるように設計してみましょう。

ビオトープの配管にはポリパイが便利

流れを好む代表的な昆虫「ハグロトンボ」。ビオトープでも繁殖し、美しい漆黒の羽を楽しませてくれる(撮影:趣味千編集部)
 
今回のビオトープは、池の水が濾過されて川の上流に戻るという設計とします。このとき、ビオトープの濾過器からビオトープの小川の上流までの水の流れを地中を通るようにして循環させ、少しでも地熱で冷却、保温ができるようにします。
濾過器―上流間の水を、塩ビパイプを埋設して流すとすると、塩ビパイプを上手につなげていくだけで一苦労します。こうした場合は「ポリパイ」と呼ばれるポリエチレン管を使います。ポリパイは水道用として多用されている、一定の柔軟性があるホースです。これならば頑丈で踏圧にも強く、施工も非常に楽です。緩やかにですが曲げることができるので、カーブや段差があってもそのまま敷設することができます。ビオトープの濾過システムの配管には、大変便利です。

冷却部を作ることも可能

ポリパイを地中に埋設した部分。通過する水は地熱により冷やされ、または温められるため、ビオトープの水温の安定に役立つ(撮影:趣味千編集部)
 
ポリパイを15センチほどの深さに埋設すると、循環する水の速さにもよりますが、20メートルほどの距離でも1度ほど水温が下がる(上がる)ことになります。これにより多少は、ビオトープ・ビオガーデンの水温を安定させることができます。
渦巻きのようにポリパイを埋め、土中を通る水の時間を長くすると、もっと水温が変化します。地上に塩ビパイプで配管した場合、暑ければ温度が上がり、寒ければ温度が下がるだけです。地上に長い塩ビパイプがあると、見た目も無粋ですし、結構邪魔になります。ビオトープ・ビオガーデンの循環パイプは地下へのポリパイの埋設をおすすめします。
 

 

 
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⑧ビオトープの濾過槽、濾過材を選ぶ

 

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