⑥ビオトープに石積みでヨシノボリのアパートを作る

⑥ビオトープに石積みでヨシノボリのアパートを作る

前回の記事はこちら↓

⑤ビオトープの防水資材の選び方

この記事のシリーズ第一回目はこちら↓

①ビオトープで自宅に小川を作る

 

ビオトープの小川の壁面。ヨシノボリのアパートのイメージ図。ビオトープの石積みは、ウナギやエビなどの住処ともなる(作画:趣味千編集部)

 

石は生き物たちの隠れ家

石積みには土留めの意味があり、小川や池の土手の粘土が水流で削られ、崩壊しないように工夫したものです。しかしヨシノボリやチチブ、スジエビ、ヌカエビなどの生物たちにとっても大きな意味があります。ビオトープやビオガーデンにおいては、石はヨシノボリたちにとって隠れ家であり、産卵場所でありますし、温まった石はカナヘビやテントウムシなどにとっては体温を上げるための温熱源でもあります。ビオトープに石積みを作ると、いろいろな生物が集まってきて、生態系が豊かになります。
ビオトープでの石積みは石と石の隙間を敢えて空け、空間率を広く取る。生き物のアパートとなる(撮影:趣味千編集部)

ビンドウで魚を取る

石をどこで確保するか

防水シートに赤土を覆土し、突き固めたビオトープの小川。これから石積み作業となる(撮影:趣味千編集部)

 

河川や海岸から石を無許可で採取することは、法律で禁じられています。石を持ち出すことは生態系にダメージを与えることになるので、無断で採取するのは禁物です。ビオトープを作るために自然に打撃を与えては、元も子もありません。
ビオトープの石の確保がしたいのであれば、河川工事などで出た残土に狙いを付けましょう。残土の多くは住宅やビルの基礎を作る時などに、埋め立ての材料として使われます。建物の下で永遠に日の目を見ない石を、ビオトープに活用しましょう。
役所の河川課などに電話して河川工事の現場を聞き出し、建設業者に連絡をとります。たくさんの石が出ているなら交渉して事情を話し、タダ、または安価でゆずってもらいましょう。軽トラックをレンタルし、ピストン輸送しましょう。

ビオトープの石の積み方

石積み作業は根気と力の要る作業だが、ビオトープでは重要(撮影:趣味千編集部)

 

石積みは本来、きっちりと頑丈に積み上げるのが大事ですが、ビオトープの石積みはヨシノボリやエビ、ドンコ、ウナギなどのアパートとなります。このためビオトープでは、空間率が高い、スカスカに積むやり方が適しています。しかしすぐ崩れるようでは問題です。頑丈ながら空間もある積み方が必要です。
石積みで大切なのは、石の向きです。石積みの奥の方に長くなるように置いていき、石積みの幅を十分に確保していきます。ビオトープの石積みは見栄えよりも頑丈さを優先しましょう。面ばかりきれいでも強いとは限りません。

裏込めは大切

ビオトープの石積み風景。石積み作業の前に、石の大きさをある程度分けておくと作業しやすい(撮影:趣味千編集部)

 

石積みの石の裏には、十分に採石を詰めます。石が水流を和らげますが、小川のカーブ部分などでは石と石の隙間に水が入り込んで水流が速くなり、粘土層を削ってしまうことがあります。石の裏に十分に採石を詰め、粘土層を水流から守りましょう。
熊本地震で崩壊した熊本城の馬具櫓の石垣をご参考に添付します。表の石に比べ、大量の割石が裏に込められていることがわかります。「武者返し」など、高度な石積み技術が結集した天下の名城熊本城のようには到底いきませんが、裏込めの大切さは十分に意識して施工しましょう。
 
熊本地震で崩壊した熊本城馬具櫓の石垣。裏込めの石の量に驚かされる(撮影:趣味千編集部)

ビオトープの雰囲気を出す

ビオトープの小川の上流部は自然に石が転がったように演出して石を配置していく(撮影:趣味千編集部)

 

今回のビオトープ・ビオガーデンの小川部は、小さな上流かた田んぼの用水路までを表現しようとしています。用水路部分は石積みで表現しますが、上流部は土留め用の裏込めに石を置いた後、大きめの石をゴロゴロ転がすようにします。上流から下流に向け、石を放るようにして置いていくと、強い水流で転がってきて自然に止まったようになります。きれいに並べていくと人工的な感じとなり、なんとなく作り物っぽくなってしまいます。

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