魚の皮を鞣す②

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魚の皮を鞣す①

 

出来上がったウスバハギの鞣し。ランプシェードくらいすぐ作れそうだ(撮影:趣味千編集部)

皮はすぐに柿渋に漬ける

はいだウスバハギの皮の裏側の余分な皮などを水で洗い流したあと、ポリ袋などに入れ、柿渋を加えます。柿渋は皮全体がしっかりと浸るくらいの量、入れる必要があります。
ウスバハギの皮は大きいので、たたまないとビニールに入らず、やむを得ずたたんだり丸めたりして入れますが、できれば延ばした状態で入れることをお勧めします。
理由は、柿渋に漬けたカワハギの皮は柔軟さを失い、もろくなっててしまうからです。折りたたんだ状態だと、皮を伸ばす際に皮が破れる可能性が高くなります。

柿渋に1週間ほど漬ける

柿渋から取り出し、新聞紙に挟んで乾燥させたウスバハギの皮(撮影:趣味千編集部)

ウスバハギの皮を柿渋に漬ける期間は、およそ1週間から10日間です。柿渋には独特の臭いがあるので、気になる人は漬けた状態でベランダの日陰などに置いておくと良いでしょう。
柿渋に漬かっている間、柿渋に含まれるタンニンがウスバハギの皮に染み、腐るのを防ぎ、柔らかくしてくれます。
柿渋はホームセンターなどにも売っています。自分で作る場合は青いうちの渋柿などをペットボトルなどで発酵させて作りますが、完全な柿渋になるには1年かかります。柿渋の代わりに抹茶やコーヒーなどのタンニンが含まれるものを使う方法もあります。

皮を干す

 

渋柿から取り出した皮は、裏側に薄い皮などがついている場合があります。皮がもろくなっているので慎重に、流水で洗い流しましょう。
洗った皮は乾燥させます。乾燥の過程で縮んでいきますので、本来は画鋲などで四方を固定するのが良いのでしょうが、しっかりと延ばして新聞紙に挟み、重しを置いておくだけでも良いでしょう。せんべいのようにカラカラになるまで乾燥させましょう。

皮に油を塗る

 

(上下)馬油、オリーブオイルなどをたっぷり塗って、3週間ほど放置する(撮影:趣味千編集部)

乾燥したウスバハギの皮は、乾燥したマロニエや朴葉のような感じです。このままでは曲げるとヒビが入り、パリパリと割れてしまうので、油を塗ります。
皮革製品に使う脂が良く、ブーツ用のミンクオイルなども良いでしょう。今回は馬の油を塗り込み、オリーブオイルも塗り込みました。
裏表ともかなりの量を塗り込み、しっかりと皮に油が染みこむまで、3週間ほど放置します。

皮を叩いて柔らかくする

油を吸い込んだウスバハギの皮。まだパリパリとした感触だ(撮影:趣味千編集部)

 

しっかり油が染みこんだら、皮を叩いて柔らかくします。何日分かの新聞紙を上に乗せ、コンクリートの上などに置き、ゴムハンマーなどで叩きます。
いきなり強くガンガン叩くと、皮が破れてしまうことがありますので、気長に、徐々に叩いていきましょう。
イヌイットは皮を鞣すとき、女性が嚙んで鞣します。皮の硬い組織にゆっくり力を加え、柔らかくしていくのは重要な作業です。

金属棒にこすりつける

ウスバハギの皮を新聞紙に挟み、ゴムハンマーで叩いて柔らかくする(撮影:趣味千編集部)

ある程度柔らかくなったら、ステンレス製の丸棒などにこすりつけ、更に柔らかくしましょう。つるつるの材質の棒に何度もこすりつけ、ガサガサした感触のものを、なめらかにしていきましょう。
とにかく無理な力を加えないのがコツです。硬い皮はパリッと折れるように割れるように砕けてしまいますが、いったん柔らかくなった皮はとても丈夫な物です。

完成したウスバハギの皮

完成したウスバハギの鞣皮。縮んでかなり小さくなった(撮影:趣味千編集部)

完成した皮は目の部分がきれいに残っていますが、口の部分は壊れてしまいました。加工の段階で所々に穴が開いたところもありますし、元々手鉤を打ち込まれた場所は大きな穴が開いてしまっています。
大きな面積は確保できませんが、なかなか味のある皮です。日にかざすと琥珀色で美しい物です。もっと手を加えれば、更に面白い皮になりそうです。
ランプシェードやブックカバーなど、色々と使い道はありそうです。
次回は皮を使った工作についてお伝えします。

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魚の皮を鞣す①

 

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