湧水群の水中

 

湧水の水源に近い場所は、カワムツ、タカハヤが群れている。透明度が高いので、空中を泳いでいるようにも見えてしまう(撮影:趣味千編集部)

減りゆく湧水

上流の地面に染みこんだ水が地表にわき出る湧き水は、アスファルトやコンクリートで舗装する事による「都市率」が上がるにつれ、激減しています。田んぼや畑などのが宅地になり、森林が造成されるのに加え、、降った雨はU字溝などの三面側溝でなるべく早く河川に流れるようにされるため、地下に水が染みこむ余地が少なくなってしまったためです。
今回はこうした希少な湧水がまだ豊富に湧き出ている湧水群を尋ね、水中を撮影してみました。今回の写真は映像からの切り出しなので、画質がやや粗くなっています。

 

湧水群は希少種が豊富

湧水が集まってできた川の淵。50センチ近いナマズが悠々と横切って行った(撮影:趣味千編集部)

 

湧水群には、湧水群固有の水草などが生息していることが多くあります。こうした希少な水草などが湧水群に分布する理由は
①一年を通して一定の湧量があり水が涸れない
②水温が一年を通して安定している
③水源が最上流に当たるため、外来種などが侵入しにくい
などがあります。しかし環境の悪化で、もう見られなくなってしまった水草も残念ながらあります。

どんな水草が分布するか

クレソンなどの外来種に混じりながら、ヒメバイカモなどの在来種も分布している湧水(撮影:趣味千編集部)
定期的な外来水草の駆除が、湧水群の生態系を守っている(撮影:趣味千編集部)

希少種、固有種としては、ヒメバイカモ、ヒラモ、ササバモのほか、スイゼンジノリなどの藍藻類も分布します。しかし最も目に付くのは、「ウォーターレタス」などの名で販売されているボタンウキクサやオオカナダモなどの外来種です。ブラジルチドメグサ、ホテイアオイなども見られます。
いずれも観賞用として国内に持ち込まれ、その後野生化したものです。暴力的に繁殖し、在来種の生息域を乗っ取る形で追い詰めてきました。

湧水群上流部

湧水群の水源は、セキショウなどの植物に覆われている場所があります。ゴボゴボと噴き上げるように湧いているわけではなく、静かに湧いており、時々小さな泡が上がる程度です。
水は非常に透明度が高く、時期によりますが、プールで潜った感覚に習うと、50メートルほどあるんじゃないかと感じる時もあります。
水深は浅く、深くても50センチ程度。水底は柔らかい泥状のものが堆積しています。外来種のクレソンが多く生えています。魚影はほとんど見られませんが、カワニナが多く、クレソンを食べています。

中流部

湧水群の下流になるとオイカワ、アユが増える(撮影:趣味千編集部)

湧水が集まって川になると、とたんに魚の数が増えます。最も湧水に近い場所は、タカハヤ、カワムツが中心。川が深くなって流れが緩くなる従って、オイカワ、ニゴイ、アユなどが多くなります。淵などにはコイ、ナマズ、オヤニラミ、ギンブナ、ヘラブナなどの姿が多くなってきます。その更に下流は池となり、ブラックバスやブルーギル、ティラピアなどの外来種が増えます。
中流部は市街地の雨水などが流れ込んで多少、濁りが発生してきますが、それでもまだまだ透明度は高く、済んでいます。
このあたりになると外来種が増えてきます。水辺にはミゾソバなどの群落が見えますが、水中にはオオカナダモなどの姿が見られはじめます。

除草で湧水が保たれる

湧水が流れる細流は、色々な苔や水苔、褐色藻類などを見ることができる(撮影:趣味千編集部)

湧水群とその周辺の水辺では、定期的に外来種の植物の駆除が行われています。ボランティアの活動もあります。湧水群は人の手で定期的に適切に管理されることにより、保たれています。
ヒメバイカモのようなささやかな水草は、クレソンやボタンウキクサなどの外来種が水面を覆い尽くすと、光が遮られて枯れてしまいます。定期的な適切な管理は、ビオトープなどの管理にも大いに参考になります。

 

 

 

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