水中撮影の装置④~海での実地試験
好奇心旺盛なベラ科のイラ。カメラに近づいてくる。カラフルで40センチ近くある(撮影:趣味千編集部)

橋の上から水中撮影

海中に没する直前の「しんかい30」からの映像。波が高く潮の流れも早かった(撮影:趣味千編集部)

水中撮影装置「しんかい30N」を、海に流れ込む小さな用水路の橋の上から投下し、撮影してみました。浅い場所で、水深はせいぜい2メートルほど。波打ち際ですが波は高くなく、比較的穏やかです。
「しんかい30N」を水中に投下すると、すぐに着底します。周囲は波消しブロックですが、海底は砂地で、所々に岩がある場所です。上から見るとたくさんの小さな魚やコウイカが泳いでいます。

クロサギの群れ

   

クロサギの群れ(3枚とも)。クロサギはよく沿岸で見かけるが、魚屋の店頭ではあまり見られない。しかし食べるとおいしい(撮影:趣味千編集部)

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水中で最も多く見られたのは「クロサギ」。魚屋に並ぶことはあまりないので知名度が低い魚ですが、焼き魚、刺し身などで食べることが出来る立派な食用魚です。
クロサギは銀色に光る体に、やや大きな目が特徴。大きい物は25センチほどになります。群れになり、海底の餌を漁りながら、沿岸をあちこちを移動して回ります。

キビナゴの群れ

流星群のようなキビナゴの群れ。非常に美しいが、天敵から懸命に逃げる命懸けの逃避だ(撮影:趣味千編集部)

動画の切り出しなのではっきりとは撮影できませんでしたが、キビナゴの群れも何度か通り過ぎました。キビナゴは「黒潮の涙」と呼ばれることもあるほど、キラキラと美しく泳ぎます。
上から見ると、メジナやフッコ級のスズキが盛んに追い回し、キラキラと逃げ惑う姿が見られます。食物連鎖が目の前で繰り広げられます。
姿は見えるものの、警戒しているのかコウイカは残念ながら寄ってきませんでした。

12メートルの水中撮影に挑戦

カメラの前から離れないイラ。歯が鋭く、貝や甲殻類をよくつついて食べている(撮影:趣味千編集部)

次に水深12メートルの水深での水中撮影に挑戦しました。ここは大型船が着岸するための特別な岸壁で、深く浚渫されている所です。しかも釣りが禁止となっています。そのため多くの魚が人間を警戒することなく、たくさん泳ぎ回っています。
この日は波が高く、沖で白波が立っています。潮流も強いのですが、これまでで最も深い12メートルまで「しんかい30N」を沈めてみました。

メジナとイラ

大きなメジナの群れ。大きい物は大学ノートほどもある(撮影:趣味千編集部)

「しんかい30N」を投下する時は、波が岸壁に打ち寄せるあまり良い条件ではありませんでした。ロープがもつれたり、引っかかったりしないように、ゆっくり投下するのでは無く、一気に落とし込むことにしました。
投下する最中に、30センチほどのメジナの群れが映りました。釣り人がいないので、岸壁のすぐ側に多くおり、あまり警戒心はないようです。
着底するとすぐにイラが寄ってきました。イラとはベラ科の魚で、体側に斜めに白い帯が入っている、なかなかカラフルな魚です。好奇心が旺盛で、何度も「しんかい30N」に接近してきました。

「しんかい30N」の難点

「しんかい30N」はカメラが向いている前面を黒く塗り、カメラの向きが上からわかるようにしていましたが、水深12メートルとなると、それは役立ちません。運良く沖合の方向を向いてくれれば良いのですが、運悪く岸壁を映してしまうこともあります。定期的に海底から持ち上げ、方向を変えるしかありません。
「しんかい30N」を作る時に、前後に小さな針金の輪を埋め込んでいます。これは投下用のロープとは別に、姿勢制御用のひもなどを付ける目的のものです。どのくらい有効か、次回、テストしてみたいと思います。

 

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