日本鶏図鑑04 岐阜地鶏:解説 都築政起・広島大学名誉教授
本品種は、岐阜県の郡上八幡地方の原産と考えられているため、郡上地鶏と呼ばれることもある。昭和16年、天然記念物指定。
全国日本鶏保存会が1997年に出版した『日本鶏審査標準』によれば、本品種の成体標準体重は雄1800 g、雌1350 gである。単冠、赤耳朶、黄脚をもつ。雄の羽装色は赤笹であるが、雌のそれには赤笹(梨地)と柏色の2つがある。
羽装色を支配する基本的遺伝子座extension (E) locusに関し、雌の赤笹(梨地)羽装個体はe+/e+の遺伝子型を、柏羽装個体はewh/ewhの遺伝子型をもつ。一方、雄では、面白いことに、e+/e+の遺伝子型をもつものもewh/ewhの遺伝子型をもつものも、共に赤笹羽装を示す。
本項の写真の雌は、東天紅鶏などの長尾性をもつ品種の雌を連想させるような優美な体型を示している。都築の知る限り、岐阜地鶏には少なくとも3つの系統が存在するが、その中にはこの項の写真の個体よりももっとずんぐりした体型を示すものも存在する。尚、都築が約40年前に東海地方で見た岐阜地鶏の雌は、全ての個体が柏羽装をもっていたことから、岐阜地鶏雌の本来の羽装色は柏色ではなかろかと推測している。