緑のカーテンは初夏に準備を
猛暑から生活を守るためにアサガオやヘチマを植え、室内への直射日光を遮る「緑のカーテン」は、日本で古くから作られてきました。窓にフィルムを貼ったり、よしずを立てかけたりするのも効果がありますが、緑のカーテンは植物の葉を太陽に透かして見る景色が美しく、視覚的な涼しさも与えてくれます。パッションフルーツやゴーヤのような実が成る植物を植えれば家庭菜園としても利用できます。
真夏に向けて植えるなら5月末から6月。真夏には数千枚の葉が盾となり、暴力的な日差しから守ってくれます。
やっかいものだが役立つ葛
緑のカーテンに適した植物は、蔓性の植物です。自然界では葛がよく知られています。葛はすさまじい勢いで繁茂します。フェンスやガードレール、道路標識などをあっという間に覆い尽くすため、除草には大変な苦労を強いられます。北米などでも猛威を振るっており、世界の侵略的外来種ワースト100国際自然保護連合が「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ぶほどです。
とはいえ葛は昔から、様々な利用をされてきました。薬用としては葛根湯が有名。くず餅などの原料ともなりますし、ウサギやヤギ、ニワトリの餌としても大変有用です。
(観葉植物)緑のカーテン パッションフルーツの苗 3.5号(1ポット)
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葛は頑強
アサガオやヘチマなどの園芸植物と違い、葛はやせた土地でも十分に蔓を伸ばします。園芸植物で緑のカーテンを作る場合は、定期的な施肥や水やりを欠かすことができません。
追肥や水やりが不十分だと、3メートル程度の緑のカーテンでさえ十分に育たず、先端部がヒョロヒョロになったり、葉の間がスカスカになったりしてしまいます。
しかし葛は放置していても大丈夫。暑ければ暑いほど成長し、少雨でも巨大な根から水を吸い上げ、グングンと蔓を伸ばしていきます。肥料など全くいりません。むしろ肥料や水を切らせ気味にし、勢いをそいで、成長をコントロールした方が良いくらいです。
葛のカーテンの作り方
緑のカーテンの作り方は簡単なものです。竹などの棒状の物を軒下に固定し、そこから数カ所、シュロのひもを結びつけて地面まで垂らし、ペグでピーンと張ればできあがりです。蔓はシュロのひもに巻き付きながら伸びていきます。シュロひもの間隔が広い場合は、その間にも横向きにシュロひもを張ります。
緑のカーテン用に、安価な化繊のネットも販売されていますが、今回はシュロひもを使いました。秋になり、葛が枯れたときに、ネットに巻き付いた葛を取るのに苦労するからです。シュロひもならそのままポリ袋に入れて放置し、腐らせて腐葉土にすることができるからです。
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葛の利用
ウサギを飼っているひとなら、葛はとてもいい餌になります。葛はウサギにとってよほどおいしいらしく、かなり喜んで食べます。葛を与えると尿が赤褐色になりますが、これはポリフェノールをたっぷり含むためです。主食にするにはカロリーが高めなので、おやつとして与えましょう。ニワトリも喜びます。葛の葉を刻んでヌカなどと混ぜて与えると、大量に食べます。葛は旺盛に繁茂しますので、餌として少々葉をちぎったとしても、葛が弱るようなことはありません。
ヤブガラシは駄目
ヤブガラシという植物があります。これも葛と同じように自然界ではよく見る蔓性の植物で、緑のカーテンに用いることも一見できそうです。が、ヤブガラシはスズメバチやアシナガバチが蜜を好みます。花が咲くとどこからともなく、巨大なスズメバチがブンブン集まってくるので、大変危険です。間違っても植えるのはやめましょう。
緑のカーテンを作ると、どうしても昆虫が集まってきますが、葛はアサガオなどの園芸種と比べると、集まってくる虫が不思議と、少ないようです。
緑のカーテンが終わったら
秋になり、緑のカーテンの役目が終わったら、シュロのひもを外し、葛ごとポリ袋に入れて腐葉土にしましょう。葛の根は冬の間、そのまま放置しておきます。春になれば葛は、また芽を出して蔓を伸ばし、再び緑のカーテンが作れます。同じ場所に何年放置しても、勢いは衰えません。
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