ビオトープってなに?
ビオトープ
人工的に作ったビオトープも、時を経るに従って、どんどん生態系が広がっていく(趣味千編集部)
ビオトープとは色々な生き物が生息する空間という意味のドイツ語です。一般的には、魚やエビが住んでいる小さな池があり、その周辺に植物が生えているような空間です。昆虫や小鳥が飛んできたりすることもあります。アクアリウムと違うのは、生き物に餌を与えたり、手を加えないこと。ビオトープは基本的には放置しっぱなしで、自然と気候の影響を受けつつ、植物も魚も昆虫も、自由に生きていく場所となります。人間が手を加えない、または最小限しか管理しないことで、ビオトープは、その場所の気候に最も適した生物や植物の空間となっていきます。

ビオトープはつながっていく

都市部の周辺がビルばかりのところでも 、ビオトープを作れば色々な昆虫が飛来してきたり、飛んできた植物の種が発芽したり、ドラマが生まれます。あちこちにビオトープができれば、トンボなどの昆虫がビオトープの間を往来し、ビオトープ間に生物の関係が生まれます。こうすることで生態系が少しずつ豊かになっていきます。ビオトープとビオトープを結ぶ、ビオコリドーと呼ばれる土の小道があると、アリやカエルなど、空を飛べない生物も活発に行き来します。どんな小さなビオトープでも、あちこちに点在し、つながれば、立派な生態系となります。

ビオトープに来る生物は?

ハグロトンボ
カワトンボの一種、ハグロトンボは、ビオトープを作るとすぐにどこからともなく飛んでくることが多い(撮影:趣味千編集部)
ビオトープは自分で成長していきます。ビオトープを作ったときにはいなかった生き物が、年月を経るごとにどんどん増えていきます。真っ先にや ってくるのはトンボの仲間。イトトンボ、チョウなど、飛ぶことができる生物は、水辺や植物を求めて、すぐにやってきます。カナブンなどの甲虫やバッタの仲間なども、どこからともなくやってきます。鳥も多くやってきます。スズメやムクドリ、セキレイなどもビオトープによく飛来します。飛べない生き物も、どこからともなくやってきて住み着きます。昆虫が集まってくると、カナヘビやカエルがやってくることもあります。

ビオトープは自然任せ

ビオトープは基本的に自然任せです。雨水が溜まった水たまりのようなもので、日照りが続けば池の水が干からびそうになりますし、氷点下となれば凍ることもあります。池にメダカやドジョウなどを入れている場合は、時には水を足してやる こともありますが、基本的にはお天気任せとしましょう。伸びすぎた草を刈ったり、元気のない植物に肥料を与えたりすることも、基本的にはしません。枯れた植物が分解され、ミミズなどの生き物の餌となり、それが池に流れ込んでプランクトンが発生し・・・と、自然の循環が起きることが狙いです。

ビオトープは狭い場所やマンションでもできる?

ビオトープはどんな大きさでも作れます。野球場が入るほど大きなビオトープもありますが、極端なことを言えば「湯飲み」でもビオトープを作ることができます。マンションのベランダなどでも立派なビオトープを作ることは可能です。必要な条件は、水が溜まる容器があり、土があり、植物が生えている、ということだけです。U字溝やたらい、衣装ケースなどを使えば、簡単に作ることもできます。どんなに小さなビオトープでも、屋外に作っている限り、何らかの生き物がやってきて、そこに小さな生態系が生まれます。

ビオトープって初心者でも作れるの?

イトトンボ
スイレン科のヒツジグサの上で羽を休めるイトトンボ。ヒツジグサは美しい白い花を夏に咲かせる(撮影:趣味千編集部)
ビオトープは大がかりなものでなければ、初心者でもすぐに作れます。ビオトープを作るのに必要な時間も、1時間もあれば十分。難しい技術は何もいりません。必要な材料も、ホームセンターに行けばほとんど手に入ります。小規模なビオトープなら、費用も高くて数千円程度で納まります。もし魚がたくさん生息しているような大がかりなビオトープを作るとするなら、それなりに労力や技術も必要となってきます。まずはベランダに小規模なビオトープを実験的に作って 、経験を積んだら大がかりなビオトープに挑戦してみましょう。

ビオトープに必要な道具は?

ビオトープに必要な道具は、水がためられる容器、または水がためられる遮水シートです。そのほかに、土と石が必要となります。もし魚を多く入れたビオトープが作りたいならば、水を循環させるポンプ、濾過のためのフィルターなどが必要となってきます。水を循環させる装置を使ってビオトープを作ると、小川を作ることもでき、集まってくる昆虫が増えますし、生息する魚やエビが世代交代を繰り返すことができるようにもなります。シートや容器を使わずに作る方法もあります。この場合は土を突き固めて防水層を作り、雨水が溜まるような遮水層を作る必要があります。
ムラサキシキブ
夏の終わりに紫の実をつけるムラサキシキブ。ビオトープでは、鳥や風が運んできた種が発芽することもあるが、自然任せ(撮影:趣味千編集部)

ビオトープは成長する

作ったばかりのビオトープに、どこから飛んできたのかわからない植物の種が芽を出し、そこに見たこともない昆虫が集まってきます。その昆虫を狙う昆虫や、鳥も集まってきます。たった一つの水たまりから始まり、どんどん新しく生態系が充実していく様子は、驚きの連続です。季節によって、天候によって集まる生物も異なります。ビオトープは簡単に作れますし、基本的に管理が不必要なので、手間もかかりません。ぜひビオトープを作って色々な生き物を呼び寄せ、あなたの庭やベランダを、生き物たちのかけがえのない楽園にしましょう。
 
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