日本鶏図鑑02 小国鶏:解説 都築政起・広島大学名誉教授
昭和16年、国の天然記念物に指定。原産県はない。その祖先は平安時代に中国より我が国にもたらされたというのが通説であるが、確固たる学問的根拠があるわけではない。平安―鎌倉期に作成された年中行事絵巻等に、現在の小国鶏を彷彿とさせるニワトリの姿が描かれていることや、藤原定家の「明月記」の中に小國という文言が見られることに基づいている。
しかし、その後、大正時代に至るまで、現在の小国鶏を示していると思われる絵画も文章も、都築の知る限り存在しない。現在の小国鶏に相当すると思われるものが初めて認められるのは昭和時代に入ってからである。
本品種の羽装色は白笹(白藤)、五色(ごしき)、白色が主であるが、一部で、赤笹、黄笹、黒色羽装をもつものも作られているようである。動画の個体は白藤羽装のものである。雄の尾羽と蓑羽は長尾性を示すが、土佐のオナガドリとは異なり換羽を行う。動画の雄の最長尾は95 cm程度である。
本品種のトサカは単冠、耳朶は赤色、脚は黄色である。ただし、一部には、意図的に柳脚をもつ白藤雌を飼育する愛好家も存在する。
日本鶏審査標準(全国日本鶏保存会, 1997年)によると、本品種の雄および雌成鶏の標準体重は2.0および1.6 kgである。