ガットマローネ号海上公試~バルキーノ漂流譚②

ガットマローネ号海上公試~バルキーノ漂流譚②

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ガットマローネ号の誕生~バルキーノ漂流譚①

 

砕ける白波の中で翻弄されるガットマローネ号。波の高い日は、絶対航行させるべきではないと痛感(撮影:趣味千編集部)

ガットマローネ号海へ

命綱を繋ぎ止めるバーをがっちりとネジ止めする(撮影:趣味千編集部)
 
塗装が終わったガットマローネ号を海に浮かべ、性能を確かめます。1000キロほど離れた太平洋を台風が通過していたため、波が穏やかな有明海の入り口に近い、風裏の砂浜で実験を実施しました。
天気予報ではバルキーノの航行が不可能なほどではなかったのですが、実際に行ってみると大荒れ。白波が砕け、離陸させたドローンが吹き飛ばされていくほど風が強い悪天候です
一応海に浮かべ、航行を始めましたが、巻き波に何度も転覆させられ、そのたびに砂浜に叩き付けられ、板をつなぐ長ボルトも曲がるなど、さんざんな目に遭いました。これ以上は危険と判断し、速やかに撤退しました。バルキーノは波の高さが50センチを超えるような海況ではまともな航行はできません。

進水式とは

板がへこむほどがっちりとナットを締め上げて固定するのが肝心(撮影:趣味千編集部)
 
ガットマローネ号は初めて海に入ったのだから、この時点でいわゆる「海上公試」や「公試運転」といわれる経験を経てしまったことになります。「進水式」をするのを忘れてしまいました。
東京都品川区の船の科学館の学芸員氏によると、進水式というのは船が海に浮くときの式で、造船台から船が海に滑り出したり、ドック内に注水して浮き上がったりする時のことを指すそうです。日本では軍艦行進曲などをかけてくす玉を割り、五色のテープと紙吹雪で祝うイメージがあります。注水が終わったドックから艦船が出て行く時に進水式をするパターンもあります。

竣工式とは

逆巻く海に乗り出さんとするガットマローネ号(撮影:趣味千編集部)
 
しかし船はこの時点ではまだ艤装を施していないので、艤装工事をする必要があります。艤装が終わったら公試運転を行って速度や旋回性能や復元性能などを試し、全て合格してから船主に引き渡されます。
このときの儀式は「竣工式」と呼ばれたり、船に正式に名付けをすることから「命名式」と呼ばれたりします。ニュースなどではなぜか「進水式」と呼ばれることもあります。
儀式の内容は斧でロープを切ったり、シャンパンを船首でたたき割ったり(身もふたもない表現ですが)と様々です。命名者は「ゴットマザー」と呼ばれ、ソフィアローレンのような大女優が務めたりすることもあるそうです。

艤装後に進水式をすることにする

巻き波を力尽くで越えたものの、制御は困難(撮影:趣味千編集部)
 
厳密に言えばガットマローネ号はもう海に入ったのだから進水式をしたことになりますし、名前を付けたので命名式もできなくなってしまいましたが、伝統的なルールは気にしないことにして、進水式は後日改めて、天気の良い日に気持ちの良い海で執り行うことにします。
一方、もう少し波に強いバルキーノに改造したいという意欲が今回の経験で湧いてきました。波に強くするだけで無く、釣りや水中撮影、夜間航行の機能を付加し、国際信号旗「D旗」が掲揚できるようにした、大規模改装を、次回はご紹介します。
荒波に飲まれるガットマローネ号。バルキーノは不沈ではあるが、艇に大きな負担がかかっている。接続金具がひん曲がってしまった(撮影:趣味千編集部)

バルキーノはこんな風に海を行きます。動画でご紹介中↓

 

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