ガットマローネ号の第1次改装~バルキーノ漂流譚③

ガットマローネ号の第1次改装~バルキーノ漂流譚③

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ガットマローネ号海上公試~バルキーノ漂流譚②

 

思いつく限りの艤装、改造を施したガットマローネ号。自画自賛だが美しく、頼もしい(撮影:趣味千編集部)

転覆防止装置

浮力増加のためのバルジ(上)と、復元性向上のためのビルジキール(下)。いずれも短板に装着する(撮影:趣味千編集部)
 
バルキーノが波により転覆する主なパターンは、長板が波で持ち上げられ、バランスを崩すというものです。バルキーノは元々長板と短板の長さの違いがあり、短板のほうが浮力が小さくなっています。短板に浮力を付けるためにバルジを追加すると共に、波の動揺を鎮めるフィンスタビライザーや、ビルジキールと呼ばれる装置に似た部品を追加します。
バルキーノ職人に作ってもらったバルジとビルジキールを塗装。短板に接着剤とビスでがっちり固定します。

重りを追加

長板にカメラなどを装着できるように、黄色い艦橋を増設し、カメラを保護するU字型の金具を装備(撮影:趣味千編集部)
 
波を受けた長板が跳ね上がらず、波に埋没するように、バルキーノの長板の前後に重りも追加します。重りは建材に使う鉄の金具で、ちょうどバルキーノの舳先に似た形をしています。これを大きなボルトと袋ナットでがっちりと固定します。
艇の前後に重りがつくとバルキーノは波に舳先を突っ込むようになり、転覆しにくくはなりますが、ピッチングという縦揺れが生じるようになります。ラインの引き方が一定で無ければピッチングが起きてしまうため、一長一短の改装と言えます。

夜間航行照明を設置

転覆してもカメラが破損しないように、長板の内側に白いミニ甲板を増設した(撮影:趣味千編集部)
 
ただでさえ視認しづらいバルキーノを夜間に走らせるのは、大変な危険を伴います。夜間航行をするなら、日中にバルキーノを航行させ、十分に地形や潮の流れを把握した場所で、しっかりと目立つ、視認性が高い照明を付ける必要があります。
船舶は進行方向に向かって右が緑、左が赤の舷灯を設置することが義務づけられています。バルキーノは前後どちらにも進むので、こうしたライトを付けるとあらぬ誤解を招きます。赤と緑の照明の搭載は避けましょう。
というわけで今回はクリスマスツリーなどに付ける、電池式の防水LEDライトを搭載しました。

ラインを太くする

長板にカメラを装着したところを裏から(撮影:趣味千編集部)
 
バルキーノが波を受けて転覆したり、方向を失った場合、バルキーノを曳くラインが絡まってしまうことがあります。細いラインの場合、これがバルキーノのワッシャーやナットの隙間に食い込むことがあります。
これにより艇の姿勢が元に戻っても操作しにくくなる問題を解決するため、バーのステンレスリングに直接ラインを結びつけるのでは無く、1~2メートルは太い金剛打ちのロープとしました。
このロープであればバルキーノが転覆してもラインが金具に食い込むことがなく、すぐに航行を再開することができます。

国際信号旗を取り付ける

長板にカメラを装着したところ(表から)。カメラをU字型の金具で守られる(撮影:趣味千編集部)
 
第1次改装の締めくくりに、国際信号旗の「D」旗を取り付けます。視認性が悪く、知名度が低いバルキーノの存在を知らずに近寄ってくる船舶やサーファーに、バルキーノの存在をアピールするためのものです。
船舶やサーファーが近い場合はバルキーノの航行そのものを中止すべきですが、不意に近づいてきた場合に備え、航行が予想される場所では掲げます。
D旗は青地の上下に二本の黄色い横帯が入ったデザインで「注意せよ。本船は操縦が困難である」という意味があります。
艤装、改装を終えました。次はいよいよ「進水式」です。
 
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バルキーノはこんな風に海を行きます。動画でご紹介中↓
 
 
 
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