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東シナ海で進水式
復元性を高めるためにバルジやビルジキールを増設したり、 夜間航行などの性能を付加したりしたガットマローネ号。 思いつく限りいろいろやってみたので、 大荒れの有明海で公試運転に臨んだときよりも、 航行能力がかなりアップしたような気がします。ただ、艇は重くなりました。晴れた日、東シナ海に面した鹿児島県の吹上浜で、進水式を執り行いました。
吹上浜は全長47キロ。50キロという説もありますが、 まあそのくらいの長い砂浜です。鳥取砂丘や九十九里浜と並び、 三大砂丘などと呼ばれることもあります。 バルキーノにはもってこいの環境です。
伝統的風な儀式
当日は快晴。風速5メートル、 波の高さは50センチの予報ですが、 風はもっと強く感じられます。 ドローンのバッテリーがすぐに消耗し、上空からの撮影は困難です。
お祝いなので五色の吹き流しを取り付けた矢竹を立てます。 儀式と言えばアルコールがつきもの。場所が鹿児島なので、 ガットマローネ号には日本酒ではなく、 芋焼酎をお清めとして振りかけ、艇の長久を祈ります。
事故が起きないように、 ラインが切れて艇を失うことなどがないように、 たくさんの魚が釣れるようにと、丁寧に祈ってから出航です。
カメラ座にカメラを設置
艤装の際に、バルキーノジャパンの職人に作ってもらった小さな甲板を、 カメラ座として取り付け、 小型のアクションカメラが取り付けられるように改造しておきまし た。小さな安いカメラですが防水の上4Kで、動画が撮影できます。
カメラは蝶ネジで締め付けて取り付けるように改造しました。 上向きに取り付けたら水面ギリギリ、 下向きに取り付けたら海中が撮影できるようになっています。
もし転覆したとしてもカメラが破損しないように、 長板にはU字型の金具を、バンパーとして取り付けました。
ガットマローネ号出航
腰にシースナイフを提げ、革手袋を装着。 波打ち際にガットマローネ号を置いて、 ラインを伸ばしていきます。
一定の長さまでラインを伸ばしてから、引っ張ります。 ガットマローネ号が砂の上を滑る重みが伝わってきますが、 波を受けると浮力を得て一気に軽くなり、海に滑り出します。
転覆の可能性が最も高いのは、海岸近くの巻き波帯です。 凌ぎ方は色々あります。小さな巻き波は、 ラインを強く引いて艇速を上げて突っ切るようにします。
大きな巻き波は、 巻き波が砕ける手前でラインを緩めて艇速を下げ、 まともに波を受けるのを避けます。砕けた泡波は、艇を転覆させる力がかなり弱まるからです。
バルキーノを沖へ送る
巻き波帯を過ぎたら、徐々にラインを伸ばしながら海岸を歩き、 ガットマローネ号をより沖へ向かわせます。 バルキーノは不沈です。うねりに翻弄されながらも、 どんどん沖へ出て行きます。
バルキーノとラインの角度が鋭角であるほどバルキーノの舳先が沖 に向くため、バルキーノは沖に出やすくなります。 バルキーノより先へ先へ、 回り込むように歩いてラインを伸ばしていきます。
カメラの映像
ガットマローネ号に取り付けたカメラの映像によると、 沖合では海の色が深く美しい青に変わりました。 カメラを水面に設置したので水面下の様子はわかりませんが、水中も さぞ美しいことでしょう。
波が砕ける様子は飽きませんし、 うねりの中を進むガットマローネ号はなかなか勇敢で健気だと感じ ます。ガットマローネ号の上を、 カツオドリが横切っていく姿も写り込んでいました。 沖に青物の群れがあるのでしょうか。
ガットマローネ号の約40分間に及ぶ処女航海は、 無事に終了しました。
ゴミが無い
バルキーノの帰りには必ずプラスチックゴミを拾って持ち帰るよう にしているので、ペットボトルや発泡スチロールを探しましたが、 ほとんどありませんでした。それほど吹上浜は美しい砂浜です。
プラスチックのものは、「浙江省」と書かれた、 漁業用の浮きが一つ転がっていただけでした。 記念に持ち帰りました。
バルキーノが出航し、沖に出て行く様子を動画でご紹介↓
バルキーノって何??
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