アマビエ丸で太平洋に挑む②アマビエ丸の魔改造

アマビエ丸で太平洋に挑む②アマビエ丸の魔改造

前の記事はこちら

アマビエ丸で太平洋に挑む①アマビエの話

 

長い髪とくちばしと鱗。非常に奇怪な姿をしたアマビエ。水木しげるの素晴らしい点描で、カラフルなイメージが定着した(作画:趣味千編集部)

何はともあれアマビエを描いたバルキーノ・アマビエ丸。太平洋の荒波に耐えるべく、様々な改造をし、日向灘で海上公試をしてきました。なかなか波に強い艇となりました。

転覆防止装置

手前の赤い重りが、巻波やうねりからの転覆を防ぐ。黄色い三角の補助翼も、水中翼が浮かないようにする役目を結構果たした(撮影:趣味千編集部)

打ち寄せる波によって長板が持ち上がり、転覆するのはバルキーノではよく起きる悩ましい現象です。出航直後の一番多いトラブルなので、これを解消するためにアームのような水中翼を取り付け、その先端に重りを装着しました。
水中翼の両端は削って傾斜を付け、水中に向かって進むようにしました。重りは水中翼の先端からぶら下がるように取り付け、先端の上には三角形の小さな羽を付ける艤装をしました。

艤装の狙い

太平洋は色が違う(撮影:趣味千編集部)

水中翼は巻き波に長板が持ち上げられるのを重りで防ぐと同時に、牽引すると水中に沈んでいく翼も兼ねる狙いです。上端の小さな三角形の羽は進行方向に向かって水中翼が沈むのを助ける役目を担います。
うまくいけばこの装置でバルキーノは巻き波に持ち上げられること無く、半潜水しながら巻き波の中を進むと見込みました。

海上公試

荒波に突き進むアマビエ丸(撮影:趣味千編集部)

波の高さ1~1・5メートルほどの砂浜で、最初の航行を試みました。普通のバルキーノでは転覆するかもしれない条件です。
アマビエ丸は重いので、最初は砂にめり込みます。大きな波が来て艇が浮き上がるタイミングをみてラインを引き、沖出しを試みます。白い砕けた波に何度も飲み込まれますが、転覆はしません。
艇が浮くと、大きな波の中に突っ込むようにして進んでいきます。うねりで長板が持ち上げられても水中翼の先端の重りでバランスを崩すことなく、長板を水没させながらも体勢を保ちます。ラインを引けば水中翼が長板を潜らせ、水中翼の先端の小さな羽もそれを補助するようです。

改造艇の難点

うねりを越えた瞬間。水中翼、補助翼が長板の浮き上がりを防ぎ、転覆から守っている(撮影:趣味千編集部)

そのように転覆はしないアマビエ丸ですが、重りなどを付けたためとにかく重く、また体勢を維持し続けるため引き波に強い力で引っ張られることも多く、非常に操艇が厄介でした。バルキーノをかなり使い慣れた人でなくては、危ない代物です。
こうした点をさらに考慮したさらに新しい新しい艇を、近々作ってみようと思います。

それでもアマビエが海を行く姿は面白い

風は比較的強かったが、海は静かだった(撮影:趣味千編集部)

これまでのバルキーノは文字ばかりだったので、カラフルなアマビエが波を越えて海を進む姿は新鮮で、面白いものでした。砂浜を散歩する人が「あれはなんですか」と驚いてみていくのが恥ずかしいですが、白波を切って進む姿はなかなか爽快です。
美しい太平洋を行くアマビエに、一日も早いコロナ禍の終息を願いつつ、航行を楽しみました。

 

バルキーノって何?という方はまずはこの記事から

バルキーノで遊ぼう♪

ガットマローネ号の誕生~バルキーノ漂流譚①

HOMEへ

バルキーノカテゴリの最新記事