竹でおもちゃの刀を作ろう※子どもに与えては危険です

竹でおもちゃの刀を作ろう※子どもに与えては危険です

麦わら帽子を兜に改造

 

竹の刀を横一文字に抜きつける幼児(撮影:趣味千編集部)

名刀「竹光」

昭和の少年たちのおもちゃに、竹でできた刀がありました。剣道の竹刀のことではなく、刀に似せた竹の刀です。竹とは言え、徹底的に工夫をこらした刀は「愛刀」として少年たちに心から愛され、とても大事にされてきました。ガキ大将でなくとも、少年らは「武士の魂」として刀をとても大切にしました。
少年たちに元々この刀を作ってくれたのは、傷痍軍人だった竹職人の方でした。手で漕ぐ独特の紺色の三輪車に乗って移動する、厚いレンズの眼鏡をかけた老人でした。普段は竹ぼうきや箕などを作っていたのですが、
竹を勝手に切っていい場所はないが、国や自治体が管理する河川敷などに勝手に生えているものは、切っても咎められないことが多い(撮影:趣味千編集部)

 

竹を切るときは目の細かい竹きりノコやパイプソーを使うようにする(撮影:趣味千編集部)
 
ある日たまたま遊びに来た子どもに作ってくれたのがきっかけでした。少年が6畳ほどの小さな部屋にその人が住んでいるのを見つけて覗き、「おいちゃん、なにを作っているの?」と無邪気に問いかけたのをきっかけに作ってもらったその一本を模して少年たちは刀を作り、鍔や柄巻きなどに、精いっぱいの工夫をしてきました。

絶対危険!

現代のような丸腰社会で、肥後守一本携行しても銃刀法違反で逮捕されるのでは無いかとどきどきしてしまうような世の中では考えられないことですが、昭和時代の子どもたちはナイフも爆竹も100円ライターも、腕白は当たり前のように持っていました。爆竹をほぐしてガス管に詰めて火縄銃のようなものを作ったり、ロケットのようなものを作って発射させたり、五寸釘を列車に轢かせて小刀のようなものを作ったり。今なら補導、逮捕されるようなことを、なんの罪の意識もなく、やっていました。科学者だったのです。

竹の刀はそうしたアイテムの一つで、少年たちは常にベルトに差していました。
竹の刀とは言え、小枝くらいなら簡単に切れるものです。チャンバラなどをやる子もいましたが、目を突いたり、大きな切り傷を作
竹の枝は鉈やマチェットで切り落とす。怪我をしやすい作業なので注意(撮影:趣味千編集部)
 
ったりする事故もしばしば発生していました。竹の刀は実はとても危ないものなのです。
ということで、この竹の刀は作っても子どもに見せるだけにし、決して与えたりしないようにしましょう。
切り出した竹。竹馬や竹とんぼはもちろん、農業用の支柱や物干し竿、凧づくりなど、無数の使い道がある(撮影:趣味千編集部)

竹の刀の作り方①

竹の刀を作るには、80~50センチほどの真竹を使います。真竹の太さは子どもの手で握れる程度(柄となります)のものが良いでしょう。
まず竹を7:3程度に切断します。3の部分が柄となります。7の部分を鉈で3等分します。3等分する道具も発売されています
刀の柄や鞘に相応しい太さの部分を選んで、パイプソーで切断する(撮影:趣味千編集部)

 
が、それが無い場合は鉈で3カ所、切れ込みを入れ、それぞれにくさびを打ち込んでいくやり方で割ります。くさびは木でも、肥後守でも構いません。
3等分した竹のうち2つは合わせて刀の鞘に、一つは刀身になります。
鞘になる部分を作るため、竹を割る。竹が細い場合、2等分でもよい(撮影:趣味千編集部)
 

竹のささくれは危ないので、鉈やマチェットで削り落とす(撮影:趣味千編集部)

竹の刀の作り方②

割った竹を「()」の形に合わせて、こじり付近、真ん中、鯉口付近の3カ所を、針金で縛ります。針金を2~3周させてからラジオペンチでねじるようにして、ギッチリ締め上げるようにします。余った針金の部分は尖って危ないので、内側に折り込み、手を切らないように、その上から好きな色のビニールテープでぐるぐる巻きにします。
刀身を肥後守で削り出す。ささくれを削る場合は、肥後守の刃を痛めないよう、峯の部分を使うが、折りたたまれないよう注意が必要(撮影:趣味千編集部)
 

刀身にする竹は、平たくなるように肥後守で削り、刀の形にします。中茎の部分を最初に切り離した柄に差し込み、木の破片を打ち込んで固定、刀身が抜けないようにします。
鞘の内側の部分は、邪魔になる節を鑿(のみ)で抜く。きれいに整えておかないと、刀を鞘に納める「納刀」の際に引っ掛かって邪魔になる(撮影:趣味千編集部)
 
竹の節の部分で、鞘を針金で結び合わせる。針金は捻じって縛り、余分な部分をカット。捻じった部分を竹の溝に折りたたむ(撮影:趣味千編集部)

竹の刀の作り方③

刀身をリアルにするために、アルミホイルを貼り付ける凝り性の子どももいました。時代劇で使われる刀は、アルミホイルを卵の白身で竹光に貼り付けています。刃を合わせる殺陣のたびに傷むので、その都度張り直しています。
針金で怪我をしないよう、ビニールテープでぐるぐる巻きにする。父祖らの工具箱からはいつも、電工用のビニールテープが消える事件が絶えなかった(撮影:趣味千編集部)
 
鍔が無いと白鞘のようになってしまうため、更に凝り性の子は、ゴミ捨て場に向かい、捨ててある襖(ふすま)から引き手の金具を外して、鍔を作っていました。鍔を木の上に置いて釘で穴をいくつも開けて割れ目を作り、そこに刀身を差し込むわけです。
刀身は柄に差し込み、木や竹の楔を打って固定する(撮影:趣味千編集部)

忍者刀や陣太刀

たっぷりと鞘に糸を巻いて糸巻きの太刀、陣太刀のように豪華に作る子もいました。飴の缶の蓋で四角い鍔を作り、ペンキを塗るなどして真っ黒にし、こじりをとがらせ、長い下げ緒を付け、忍者刀とした子もいました。
完成した竹光を、日本刀と並べてみる。竹光は直刀で、末古刀の強い反りとは対照的。末古刀は2尺4寸(撮影:趣味千編集部)
 
学校から帰るやいなやベルトに愛刀をぶち込み、自転車にまたがって出陣。片手ハンドルで自転車をこぎながら抜刀して武田騎馬軍団風に突撃したり、忍者刀の鍔に足をかけて民家のブロック塀をよじ登ったり、子どもたちは好き勝手に遊んでいました。アウトドア、DIY、そんな言葉も知らないまま、相当なスキルを身につけていました。
 
できた竹の刀を試しに幼児に与えてみたら、即刀剣乱舞。ビュンビュン振り回し、手当たりしだい何にでも斬り付けます。もうご乱心の若君のようです。危ない刀剣幼児になったので、回収しました。
 
以上、これは昭和、20世紀のお話なので、竹の刀を作って子どもに与えたりしないようしましょう。しつこいようですが、本当に大けがをしてしまいます。
鯉口を切って並べてみたところ。このあと鍔を付けたり、柄巻きを巻いたり、少年らは精一杯カスタムしていく(撮影:趣味千編集部)
 
ツツジの中に曲者の気配を察し、抜刀するや否や刺突する幼児(撮影:趣味千編集部)
 
竹の刀には麦わら帽子の兜が良く似合います。動画はこちら↓

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