火鉢を楽しもう②

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火鉢を楽しもう①

 

湯気を吐き出す土瓶。生き物の様で見ていて飽きない(撮影:趣味千編集部)

火鉢に炭を入れる方法

火鉢に炭を入れる際は、いきなり火鉢の中で炭を燃やすのではなく、別の場所で火を付けた炭を持ってきて導入するのが普通です。
いきなり火鉢内で着火させると、着火剤として使った紙や小枝の煙が部屋中に充満してしまうからです。
別の場所で火を起こして炭に火を移し、十能という道具に炭を入れて運び、火鉢に入れるようにしましょう。

火鉢の難点とリスク

長火鉢に付いている引き出し。お茶や海苔など、乾燥させたいものなど入れていたそうだ。今は空っぽ(撮影:趣味千編集部)

火を使う以上、火事に注意が必要です。爆跳で飛び散る炭火の火の粉や、灰の量が不十分な場合など、火事を起こしかねない危険も伴います。火を付けたままその場を離れるのはリスクがあることを知っておきましょう。
また火鉢は火を燃やすため、換気が必ず必要です。気密性の高い部屋では、定期的に絶対に必要な作業です。二酸化炭素だけでなく、一酸化炭素も発生するということを忘れないようにしましょう。
火鉢はどんなに注意して取り扱っても、灰が舞い上がってしまいます。パウダー状の灰で、目に見えないような粒子状です。火鉢を使っていると、どんなに注意してそーっと火箸を使ったつもりでも、サッシや塗り物の卓などの上をよく見ると、うっすらと灰が積もっているのがわかります。そうした問題はあらかじめ覚悟しておく必要があります。

灰神楽

五徳の中で火箸で炭をいじる。いじる必要はないが、いじりたくなる(撮影:趣味千編集部)

時代劇などでは、刺客や捕り方に踏み込まれた志士や賊が慌て、火鉢の鉄瓶などをひっくり返し、灰神楽が上がるシーンがよくあります。あれは本当で、燃焼させている火鉢に水などを落とすと、すごい量の灰が舞い上がります。こうなると部屋は灰だらけになりますので、とにかく静かに燃やしましょう。

火鉢であぶる?

古い物には独特の存在感がある。どてらを着込んだ昔の誰かの手をあぶる姿が目に浮かぶ(撮影:趣味千編集部)

火鉢に五徳を置き、土瓶をかけて湯を沸かすと、思ったよりも早くお湯が沸きます。このお湯でお茶を淹れると、とてもおいしく感じられます。物理的にガスや電気で湧かした物と大差がある訳では無いはずですが。
酒飲みは灰にとっくりを埋めて、燗酒を楽しみたくなるでしょうし、そうなるとスルメや干物をあぶったり、餅を焼いたりしたくなる人もいるでしょう。冬の楽しみでもあります。「部屋は臭くなってもいい」と腹をくくった人ならば良いでしょうが、そうで無い人はせいぜい、お茶を湧かしたり、海苔をあぶったりする程度にとどめておいたほうが無難だと思います。いろいろこぼれてしまうと、臭い火鉢になってしまいます。

灰の手入れ

比較的炉が深いため、灰が少なく見えるが10センチはある。これ以下は火事の恐れがあり危険。あまり灰が多いと、灰が外に出やすくなる(撮影:趣味千編集部)

灰は定期的にふるいます。目の小さな金網などに通し、炭の燃え残りなどを取り除き、定期的にきれいな状態にしておきましょう。
紙が高級で手に入らなかった時代、灰に字を書いて、子どもに文字を教えたというような話も伝わっています。女学生が教室にあった火鉢の灰に、好きな人の名前をこっそり書いて親友にだけ教えたなど、なかなか火鉢も意外な方面で活躍していたようです。

灰に模様を描く

風炉と茶釜、水差し。炉を切っていない茶席で用いられる(撮影:趣味千編集部)

茶席では、炉を切っていない和室や夏は、湯を沸かすのに、風炉と茶釜を使います。このときに使う風炉の灰を整えることを灰形といいますが、これと同じように、火鉢でも灰を整えることがあります。
灰に波のような模様を描いたり、渦のような模様を描いたりするもので灰ならしといい、櫛のような形をした灰ならし用の道具もあります。持っていると面白いでしょう。

安全に慎重に注意して使えば、火鉢がある暮らしはとても楽しく、豊かなものになります。炭の燃える音、湯の沸く音。おいしいお茶・・・。静かな冬の夜を楽しんでください。

 

寒い季節は火に当たりたくなります。

ロケットストーブで遊ぼう

新聞を薪にする~ペーパーログ作り

この記事を動画にしました。静かな時間を過ごせました。

 

 

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