雲海を見よう
阿蘇カルデラの雲海。下界の市内が全く見えない(撮影:趣味千編集部)

雲海とは

雲海とは霧によって生じる気象現象です。盆地や谷などのどんぶり状の地形に霧が溜まるように滞ることにより、まるで大海原が出現したかのような光景になるものです。
雲海の上に山やビル、城郭など高さのあるものが突き出た様は、まるで島のように見えます。非常にシュールで幻想的な景色で、頻繁に雲海が出る場所は観光名所として定着しています。絶好の雲海が現れた時には、報道機関や写真愛好家がカメラの砲列を敷く姿が見られます。

雲海が出る日は冷え込む。植物も凍りつくような放射冷却があると、出現しやすい(撮影:趣味千編集部)

雲海の名所

雲海の名所と知られている場所は日本各地にあります。雲海の上に浮かぶように見えることから「天空の城」として話題になった兵庫県朝来市の竹田城などは、雲海の名所として世界的に有名です。近畿では京都の亀岡盆地、大江山なども雲海の名所として知られています。
世界最大級のカルデラを持つ阿蘇山も雲海の名所として知られています。外輪山が霧を閉じ込めるため、巨大なボウルに牛乳を満たしたような不思議な景色を見ることが出来ます。
名所として有名では無くても、盆地状の地形であれば小規模でも雲海は出ます。Googleマップを立体表示にし、近くの雲海スポットを開拓してみるのも面白いかも知れません。

水墨画のような雲海。下界はむせるほどの深い霧だ(撮影:趣味千編集部)

雲海が出るメカニズムと条件

雲海には霧の材料となる湿度が必要です。夜間に晴れていると、地面の熱が宇宙に放出される放射冷却が起き、湿度の高い空気は霧になります。
このようにして霧が出ても、風があると吹かれて消えてしまうばかりなので、風がほとんど吹いていないことも雲海発生に必要な条件となります。つまり

①湿度が高い
②晴れて気温が下がる
③風が無い

の条件を、霧が溜まりやすい地形で満たしたときに、雲海が発生する確率が高くなります。気温が下がることが雲海の発生条件にありますが、標高が高い場所であれば冷え込むので、夏でも雲海が見られます。

雲海は別世界を感じさせる気象現象。頻繁に出る場所は観光スポットとなっている(撮影:趣味千編集部)

雲海は早起きして

雲海は日照が始まって気温が上がると、消滅してしまいます。夜明けの時刻には、雲海を見下ろす山の上などに移動を完了しておく必要があります。そうすれば朝日を浴びて表情を変える雲海を楽しむことが出来るでしょう。
雲海が出る時は気温が下がり、霜が降りたり、氷が張ったりしていることが多くあります。しかも雲上に出るまでは、濃い霧の中を走行する必要があります。必ずスタッドレスタイヤなどの冬タイヤをはき、ライトも点灯させて運転しましょう。フォグランプ、リアフォグがある車は、これも点灯させましょう。視界と路面のコンディションに気をつけ、車速は控えめにしましょう。

雲海から頭を出した米塚と森。島が海に浮いているようだ(撮影:趣味千編集部)

阿蘇の雲海

阿蘇山で雲海を見る場合は、外輪山の山頂から見下ろすようなポジションを狙います。阿蘇盆地を見下ろす「大観望」は雲海を見るスポットとして有名です。
阿蘇の雲海の観察の面白さは、噴煙とのコラボレーションです。阿蘇中岳(1506メートル)は活発な火山活動をしており、灰色の噴煙をあげることが良くあります。雲海の上に突き出た山から昇る噴煙は、雲海をよりいっそうシュールな景色にしてくれます。

雲海のかなたに阿蘇中岳が噴煙を上げる。風がなく静か。日常を忘れ、地球の活動を感じることができる静寂の時間だ(撮影:趣味千編集部)

 

HOMEへ

自然観察カテゴリの最新記事