夕焼けを楽しもう

夕焼けを楽しもう

 

荘厳な夕焼け。夜景が写り込むように撮った(撮影:趣味千編集部)

夕焼けは秋と言うが

金色っぽい夕焼け。日が沈むにしたがって赤くなっていく(撮影:趣味千編集部)

 

枕草子で清少納言が「秋は夕暮れ 夕日の差して山の端いと近うなりたるに・・・」とお勧めしていることもあって、秋が最も夕焼けが美しいというイメージですが、必ずしもそういうわけでもありません。夕焼けが美しいかどうかは気象条件が左右するものなので、春や夏、冬でも、お天気次第で美しい夕焼けが見られます。
とはいえ、夏が終わって涼しくなる秋は、ヤブ蚊に悩まされずにずっと夕日を見ていられます。夕焼けが終わると月も昇ってきます。夕方、もし時間が作れたら、落陽に付き合ってみても乙です。忙しい日々をひととき忘れて、沈む夕日をゆっくり楽しみましょう。

 

夕焼けが赤い理由

火口から立ち昇る水蒸気も夕日でピンクに。かわいらしい(撮影:趣味千編集部)

 

夕焼けが赤いのは、太陽の光が通過する大気の距離が長くなるためです。よく知られていることなので簡単に説明しますと、太陽から夕焼けは赤い光だけが届いているという状態です。
光は大気中にある微粒子や大気成分の分子に当たって散乱されます。波長が短い青い光はすぐ散乱してしまうのに対し、赤い光は波長が長いため散乱されにくく、遠くまで届きます。
日が沈む時は下図のように、南中に比べて光が大気中を通過する時間が長くなるため、赤い光だけが残るというわけです。

南中時などは波長の短い青いの光が地上まで届くので空は青い。大気圏を光が通過する距離が長くなる夕方は、青い光が途中で散乱し、波長が長い赤い光だけが届くため、夕焼けは赤い。ざっとした説明(作画:趣味千編集部)

夕焼けの条件

金色の雲が美しい。左上に旅客機が写り込んだが、その旅客機の前を先導するように何かが飛んでいるような。「護衛機?」「なんの護衛だよ」「飛んでるわよ」「雲だろう、雲」「F2?」「鳥だ」「鳥ではない!」「F15?」「旅客機より速いな」「ファントムよ、F4」「わ、消えたよ」「消えたな」。・・・「UFO!?」(撮影:趣味千編集部)

 

雲一つ無い快晴の夕焼けもきれいなものですが、ある程度の雲量があったほうが、荘厳で劇的な夕焼けが見られます。雲が光を反射するからです。
雲の種類や高度によって、赤や金、ピンクなど、様々な色が楽しめます。光が雲を立体的に浮かび上がらせたり、雲の変化も手伝い、大変ドラマチックなショーが見られます。

 

 

夕焼けと天気

波のような雲が、空の奥行きを教えてくれる。天竺か、終末か(撮影:趣味千編集部)

 

夕焼けがきれいだと晴れるというよく言われます。偏西風によって西から東に天気が移り変わり、太陽が西に沈む以上、西側に雨雲がないことを示す夕焼けは、ある程度、翌日の晴れを示す根拠となります。
ただ、前線が通過する場合や、台風が接近している場合などはこの限りではありません。それに観望天気はそのエリアの空を何年も見続けてきた漁業者や船員の経験の蓄積であって、初めて行く山や海でいきなり通用するものではありません。目視は飽くまで参考とし、登山や釣りに出かける場合はしっかり、天気予報を見て判断しましょう。
とはいえ目視で天気を予測するのは重要な技術で、かつては気象庁の気象台、測候所などでもベテランが屋上などで毎日欠かさず、観測していました。しかし今はロボット観測が進んで無人化し、多くの気象官署で目視は行われなくなってしまいました。

夕焼けの撮影方法

山の重なりも美しい。何もかも夕日に染まると、天地の境が分からなくなるほどだ(撮影:趣味千編集部)

夕焼けは星空を撮影する(⇒星空を撮影してみよう)よりずっと簡単です。現在発売されている一眼レフのデジカメなら自動的にそれなりの夕焼けを撮影することが可能です。今回の記事中に使っている写真はいずれも、明るさ調整を含む画像の加工やトリミングを一切していません。撮りっぱなしです。
ただ、進化したデジタルカメラは色々と演出までしてくれるため、実際の夕焼けの色と乖離したオーバーな写真を撮ってしまうことがあります。撮影後の画像をモニターで確認し、実際に見えている夕焼けの色などと見比べながら、カメラを微調整をするしかありません。
写真加工ソフトで夕焼けをいじるといくらでもきれいに出来ます。目的があってそういう加工をするなら別ですが、実際に目で見えた夕焼けの色を表現したいのであれば、自分の目にしっかりと夕焼けを焼き付け、記憶しておく必要があります。

映像もとても美しく撮影できました↓

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