タイドプールで遊ぼう
地殻変動による断層と波の浸食、生物の空けた穴が、実に奇怪な景色を作っている(撮影:趣味千編集部)

タイドプールとは

海岸で干潮時に現れる水たまりを、「タイドプール」といいます。タイドプールが出来る場所は、波で削られて池のようになった岩のくぼみであったり、水が染みこみにくい砂浜のくぼみだったりします。
バケツ1杯にも満たないような小さなタイドプールもあれば、泳げるほど広く、深いタイドプールもあります。こうした場所は大潮の干潮時も干上がることなく、池のように維持されるため、海藻が林のように茂り、大変豊かな生態系が形成されています。

波しぶきがかかるような波打ち際は危険。いつ大きなヨタ波がくるかわからない(撮影:趣味千編集部)

タイドプールで遊ぶ時の服装

可愛い顔のゴンズイ。棘に毒あり(撮影:趣味千編集部)

 

タイドプールで遊ぶときの服装は、海水浴とは違います。タイドプールにはけがをするかもしれない貝の殻や岩の角などがありますし、岩の上に海苔や珪藻が生え、転倒する危険もあります。こうした危険による事故を防ぐために、しっかりした準備が必要です。

①磯足袋

足元は、「磯足袋」という特殊な足袋をはくのがベストです。これは滑り止めがしっかりしており、「渓流足袋」も同じですが、滑りやすい場所で大変活躍します。

コクチフサカサゴ。カサゴ、オコゼの類はどれも基本的に棘があり、毒を持っているものもいる(撮影:趣味千編集部)

②軍手

よろけて思わず手を突いたときにけがをしないために、軍手も必要です。これはカニなどの生き物を採取する際にも役立ちます。

オキフエダイではないかと思うがよくわからない幼魚(撮影:趣味千編集部)

③帽子

磯には木陰のように日差しを遮るものがありません。炎天下、夢中になって遊んでいると、熱中症になってしまう恐れがあります。出来ればつばの広い麦わら帽子などを被りましょう。

オコゼの仲間は岩のようなので、誤って踏んだり掴んだりしないようにしよう(撮影:趣味千編集部)

タイドプールで遊ぶときの道具

①箱メガネ

タイドプールの中の生き物を観察するなら、箱メガネが便利です。1000円前後で売っていますが、筒状のものに透明なビニール袋を被せて輪ゴムで止めたものや、虫かごとして使う小さなプラスチックケースでも代用できます。

コトヒキの幼魚と思われる魚も泳いでいた(撮影:趣味千編集部)

②ホース、手動ポンプ

タイドプールの水位を下げると、色々な生き物が観察しやすくなります。こんな時、ホースや、灯油をストーブに入れるときの手押しポンプがあれば、プール内の水を汲み出すことも出来ます。

ハゼ科の何か。種類が多すぎてわかりません(撮影:趣味千編集部)

③玉網

生き物を捕まえるには、玉網が適しています。魚取り、虫取りに使うものがもちろん使えますが、お勧めなのは観賞魚用の小さなネットです。岩の下や海藻の隙間などに隠れている小さな生き物を採取する時、とても役に立ちます。
このほかに、バケツ、ルーペなどもあると便利でしょう。

ツバクロエイ。砂泥のタイドプールにはアカエイなどがいることがある。棘に注意(撮影:趣味千編集部)

波・潮汐に注意

タイドプールで遊ぶのは、波打ち際から十分な距離があることが条件です。波しぶきがかかるような場所のタイドプールは、突然押し寄せる大きな波「ヨタ波」や「バカ波」が来て、海にさらわれる危険があります。しっかりと波打ち際から距離を確保しましょう。
潮汐にも注意しましょう。タイドプールが現れる干潮時を狙って遊び始めた場合、潮が満ちて孤立してしまう危険があります。特にタイドプールで遊ぶときは夢中になりがちで、周囲に目が行き届きません。「気がついたら帰れなくなっていた」とならないように注意しましょう。

危険な生物に注意

 

シマスズメダイの幼魚とみられる魚。カメラに寄ってくる人懐っこさ(撮影:趣味千編集部)

よく知られていますが、海にはいくつかの危険な生物がいます。主なものをごく簡単に紹介します。図鑑などを読み、あらかじめ十分な知識を持っておきましょう。

①ヒョウモンダコ

美しい模様をした小さなタコですが、フグの毒と同じテトロドトキシンを持ち、嚙まれると死亡することもあります。

②ゴンズイ

ナマズのような風貌ですが、胸鰭や背びれに毒針があります。

華麗な毒魚、ハナミノカサゴ。飼育するととても面白いが、棘に注意(撮影:趣味千編集部)

③エイの仲間

尾鰭に毒針があります。砂に潜っていて知らずに踏んでしまう危険があります。

④ウニの仲間

ガンガゼなど、長い棘を持つものがあり、踏むと危険です。

⑤ウツボの仲間

穴の中に潜んでいることがあります。不用意に手を入れると鋭い歯で嚙まれます。

⑥オコゼの仲間

オニダルマオコゼ。南海に多い。ストーンフィッシュの名の通り、岩そっくりだ(撮影:趣味千編集部)

オニオコゼ、ダルマオコゼ、ハオコゼなどの種類がいます。背びれに毒があります。岩だと思ってつかんだり、踏んだりしないようにしましょう。
他にもクラゲの仲間など、毒を持ったり、棘を有したりしている生物は多くいます。知らない生物をいきなり素手で握るようなことをしないように、必ず網ですくうようにしましょう。

無断採取に注意

イセエビなどがいても、漁業権があるため持ち帰ってはならないケースが多い(撮影:趣味千編集部)

毒を持つ生き物もいますが、イセエビ、アワビ、トコブシ、サザエ、ウニなどのおいしい「高級食材」もいます。しかし漁業権が設定されている場所では、こうした水産物を勝手に採取して持ち帰ることは、禁じられています。魚介、海藻などの採取は密漁となることもありますので十分に注し、磯遊びを安全に楽しみましょう。

 

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