干潟は生き物の天国
干潟は多くの生物が生息する大変豊かな生態系を持っています。 魚や貝、甲殻類やゴカイなどの環形動物だけでなく、 鳥類にとっても大切な餌場です。
東京湾の三番瀬や有明海のような広大な干潟でなくても、 港湾や河口など、潮の流れが緩く波が静かな場所には、 小さな干潟があることが多く、 都内でも運河の河口部などには干潮時、小さな干潟が現れます。
干潟の生き物は夏季、特に活発に活動します。 望遠レンズや双眼鏡を持って観察すると、 生き物たちのユニークな動きが楽しめます。
干潟のタイプと潮汐
干潟の生き物を観察するなら、当然ながら干潮を狙いましょう。 潮汐表で干潮時刻を調べていかないと、 ただの濁った水を眺めるだけになってしまいますので、ご注意を。
干潟には色々な種類があります。砂が中心の、 歩けるような干潟もありますし、 とろとろの泥でできた干潟もあります。 泥でできた干潟は歩くのは危険で、 下手をすると一気に胸ぐらいまで埋まってしまいます。 大事故になる可能性があるので、 未経験者は立ち入らないようにしましょう。
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カニだらけ
今回は有明海に面した干潟を訪ねました。 有明海は干満の差が大きく、沖合まで潮が引きます。 このため漁業用にコンクリートの道路が沖合まで作られているとこ ろがあります。この道路はとても干潟の観察に適していますが、 沖合で獲ったアサリを運ぶ軽トラックが通る場所なので、 立ち入らないようにしましょう。
潮が引くと干潟はカニの天国になります。数万、 数十万匹のカニが現れ、 しきりに泥をハサミで口に運ぶ姿が観察できます。
カニの種類は、ヤマトオサガニやシオマネキなど。 いずれも遠くが見渡せるように、目が「♪」 を逆さまにしたような独特の形をしています。 縄張りを巡って威嚇し合う行為はダンスのようにユニークです。
ムツゴロウ王国
有明海の干潟の主役はムツゴロウです。奇妙な名前、 マンガに出てくるカエルのような滑稽な顔、 どれをとっても非常に個性的なハゼの仲間です。
ムツゴロウは巣穴を中心に50センチから1メートルの範囲を縄張 りにしています。巣穴の深さは1メートルほどです。 ムツゴロウがいる穴は放射状に、 ムツゴロウの通った跡がついています。鳥などが襲ってきた場合、 ムツゴロウは素早く巣穴に潜り、身を潜めます。
ムツゴロウの大きさと餌
ムツゴロウはだいたい15センチほどの大きさで成魚です。 しかし20センチを超えるようなデカいものもいます。
ムツゴロウは草食。干潟の表面に生えた珪藻を餌にしています。 ムツゴロウの縄張りはムツゴロウの餌場の範囲でもあります。 口を泥に付けてモグモグと動かすようなしぐさをしているのは、 珪藻を食べているところです。 ムツゴロウによく似たトビハゼはかわいらしいですが肉食で、 小さなカニや稚魚などを餌にしています。
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ムツゴロウの味
ムツゴロウは食用として利用されます。刺し身、から揚げ、 甘露煮、干物など、様々な調理法で食べられています。
泥の中で生活しているのでいかにも泥臭いイメージですが、 珪藻を食べるという食性からわかるとおり、 アユを想像させる風味があります。 特に大型で作る蒲焼きは味が良く、 風体からおっかなびっくり口にした人も、 食味の良さは否定しないことが多いようです。
干潟のアイドル・ムツゴロウは、釣れる!飼える!
次の記事でご紹介します。