ロケットストーブで遊ぼう

室内の火の楽しみ方は

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火鉢を楽しもう②

 

生木でも落ち葉でも、ガンガン燃やすロケットストーブ。火力が強く、あっという間にお湯も沸く(撮影:趣味千編集部)

ロケットストーブとは?

ペール缶とステンレス製の煙突を組み合わせたロケットストーブ(撮影:趣味千編集部)

「ロケットストーブ」というストーブを知っていますか?ロケットという名前ですが、ロケットエンジンがついている訳でも、ロケットのように飛んでいく訳でもありません。燃焼するときに「ゴーッ」というロケット発射の時のような音がするので、ロケットストーブというそうです。
「ゴーッ」という燃焼の際の音は、強い火力で勢いよく薪が燃えている証拠です。順調に燃えているときは煙も一切出ず、完全燃焼に近い状態となります。もくもくと煙を出す不完全燃焼とは違い、においも煙も無く、ただ「ゴーッ」と小さな音がするだけの、不思議なストーブです。

ロケットストーブの原理

ロケットストーブの高い燃焼効率の秘密は、煙突にあります。普通の薪ストーブによくついているステンレス製の煙突は外気に冷やされ、中の煙もすぐ冷えてしまいます。しかしロケットストーブの煙突は、周囲を軽石やもみ殻をいぶした燻炭で囲まれているため、煙突自体が熱を帯び、煙が冷やされません。このため煙突内で煙が再び燃える「二次燃焼」が起き、煙がほとんど出なくなるという仕組みだそうです。

着火直後は煙突が十分に温まっていないので煙が出る(撮影:趣味千編集部)

ロケットストーブの構造

今回は知人から譲り受けた手作りのロケットストーブで説明します。このロケットストーブはオイルが入っていたペール缶を重ねて作ったものです。
下の部分となるペール缶の横っ腹に穴を開け、ストーブのステンレス製の煙突の部品を差し込みます。ここが焚き口となります。この焚き口と接続するように、ペール缶の中心にステンレス製の煙突を通し、上部に穴を開けて排気口とします。調理などをする場合は、この排気口から出る熱を利用します。
ペール缶の中に煙突を通したら、その周囲に保温材としてもみ殻の燻炭などを充塡していきます。充塡する材は多孔質のものが保温性が高く、おすすめです。ボラ土と呼ばれる軽石などもおすすめです。バーミキュライトという園芸用の用土を使うケースもありますが、産地によっては石綿(アスベスト)が含まれておりますので、出どころのわからないものは使わない方が賢明です。

ロケットストーブの使い方

焚口の炎が煙突内に引き込まれるようになれば、ロケットストーブ特有の空気の流れができる(撮影:趣味千編集部)

最初にロケットストーブの焚き口に、新聞紙や小枝、枯れ葉などを入れ、火をつけます。火をつけた直後は焚き口から上に煙が上り、ペール缶の中の煙突には煙が流れません。
しばらく燃やしていると、焚き口の煙がペール缶の中の煙突に流れ始めます。焚き口は空気を引き込むだけになり、煙は全てペール缶の排気口から出るようになります。この状態で更に薪を加えて燃やし続けると、ペール缶の中の煙突がどんどん加熱され、熱を持っていきます。
煙突が高温になると、それまで排気口から上がっていた煙が出なくなります。二次燃焼が始まり、煙の中の燃焼成分が完全に燃えてしまうからです。

ロケット音

この燃焼状態となって、ロケットストーブは安定し、「ゴーッ」というロケットストーブ独特の音が聞こえるようになります。こうなるとロケットストーブの燃焼力は最大となり、乾燥した薪はもちろん、切ったばかりの竹も生木も、勢いよく燃やしていきます。水分を多く含む木々は燃やすと大量の煙を出してしまいますが、ロケットストーブでは煙突内で二次燃焼が起きるため燃え尽き、煙はほとんど出ません。

ロケットストーブの長所

火焔が渦を巻き、強い火力を生み出している。煙はほとんど出なくなる(撮影:趣味千編集部)

このようにロケットストーブには、完全燃焼によってほとんど煙を出さす、乾いていない木や落ち葉でもどんどん燃やしてくれます。燃料を選ばないという長所があります。
ロケットストーブは火力も大変強いです。排気口に五徳を置いてやかんをかけると、一気にお湯を沸かす力があります。排気口から煙が出ないので、やかんの底につく煤も、非常に少なくなります。

ロケットストーブの短所

焚口が小さく、常に燃料を補給し続けなければならないのが、少々面倒(撮影:趣味千編集部)

しかしロケットストーブには短所もあります。焚き口が小さいことです。石窯などと違い、大きい薪を突っ込むことができません。どんどん燃えていきますので、小さな薪や小枝などを絶えず、補給し続けねばなりません。
火力の調整もなかなか難しいです。強い火力で一気にお湯を沸かしたりするのは得意。中華鍋で炒め物をするような場合も、強い火力が役に立ちます。しかしじっくり火を入れるような調理には向いていません。
焼き物に使うのも、工夫が必要となります。ロケットストーブは勢いよく空気を吸い込んで燃焼し、吹き上げるように排気します。このためかなりの量の灰を同時に吹き出すことがあり、食材が灰だらけになってしまうことがあります。

ロケットストーブの改造

完全燃焼中のロケットストーブ。突っ込んだ薪が焚口に自然に落ちていくように改造できれば楽なのだが・・・(撮影:趣味千編集部)

ロケットストーブをレンガなどで作り、暖房として活用する人もいます。小さな焚き口を改造し、下の薪が燃えると自動的に薪が補給されるような工夫をした人もいます。完全燃焼ができる優れた仕組みを十分活用できるように工夫すれば、まだまだ用途が広がりそうです。
ペール缶のロケットストーブは今のところ、確かに素晴らしい燃焼をするものの、用途があまりありません。暖房や調理器具として使えるよう、今後改造してみたいと思います。
ロケットストーブは、色々な工夫が加えられたとても面白く効率的なものがたくさん造られ、販売されています。自作してみたい人は金属で手を切ったりしないよう十分注意してください。

 

ウッドガスストーブとロケットストーブの強引に融合させたものを作ってみました。YouTubeはこちら↓

ウサギのフンを混ぜた新聞薪を作ってこのストーブの中で燃やしてみました↓

 

 
ロケットストーブでも使えるペーパーログの作り方はこちら↓
新聞を薪にする~ペーパーログ作り
 
多機能の石窯を作る①~石窯の扉を作る
 
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